この夏は過去イチの飛距離を手に入れたい! アマチュアの永遠の願いをかなえるべく、ALBAでは『飛ばしフェス』を開催中。ツアーの現場から、女子プロの使用ドライバーを調査し、飛距離アップのコツをギアの面から探った。今回は20年前に発売されたシャフトが人気を博しているヒミツに迫った。
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■上田桃子や有村智恵も愛した2006年発売の『ツアーAD PT』
今季「NTTドコモビジネスレディス」で通算4勝目を挙げた菅沼菜々が、飛ばし屋に変貌している。ドライビングディスタンスを見ると、24年は237.08ヤード(50位)、25年は242.42ヤード(34位)、そして今年は249.03ヤード(13位)と2年で12ヤード近く伸びている。
昨年からハードなトレーニングで背筋や下半身を強化して振りが鋭くなった。加えてドライバーは今年から『ゼクシオ14+(プラス)』に替え、シャフトもグラファイトデザインの『ツアーAD PT』(5-S)を挿した組み合わせがハマっている。
菅沼が選んだ『ツアーAD PT』は、2006年発売モデルで上田桃子や有村智恵が長年愛用し、男子プロでもいまだに使う選手が多く、代表的なクセの無いシャフトで20年モノの“名器”といわれる。一般的には古いモデルは生産終了となるが、『PT』はいまだに“現役”だ。
このシャフトは開幕前のテストで決まった。「昨年までは手元側が軟らかいシャフトを使っていましたが、後半はしなりすぎる感じがありました。オフに『PT』をテストしたらスピン量が少なくて、曲がらないんです」と手元側がやや締まった中調子のシャフトにたどり着いた。鋭い振りの振り感とマッチしている。
■最近のシャフトより“マイルド”な仕上がりが好評
菅沼のほかにもこの“名器”をよく見かける。2年前から6ヤードほど伸びている三ヶ島かなは昨年から使用している。今年からは吉本ひかる、宮田成華、そして「(菅沼)菜々ちゃんに勧められて…」と“飛ばし女王”の神谷そらも6月からエースに収まっている。
今季は“振る”ことをテーマにして飛距離が伸びている三ヶ島は、「まとまりがいい感じのシャフトで誰にでも合いそう」とクセのない振り感を好む。
吉本ひかるは「最近のシャフトは、ミスと思ってもミスにならなかったり、逆にいいスイングと思ってもミスショットになったり…。感覚と結果のズレを感じていましたが、このシャフトは自分がミスしたと思ったらミスになってくれます」と振った感覚とクラブの挙動が一致しやすく、思い切って振れるという。
グラファイトデザインの担当者によると、「最近のシャフトは全体的に先端剛性が高いです。それに比べると『PT』は先端剛性がマイルドなため、選手によってはそのマイルドな先端挙動でフェース管理がしやすいという選手が見受けられます」。手元と先端が硬い中調子の『PT』だが、先端が硬いといっても20年前の基準なので大型ヘッドに合わせた今の世代のシャフトに比べると、マイルド感があり、それを好む選手がいるという。
■シャフトの“恩恵”を受けないシンプルさがある
ギアに詳しいQPさんこと、関雅史は次のように解説する。「『ツアーAD PT』は、少し手元が動きますが、典型的な中しなりシャフト。カーボンの素材的にも弾くものではなく、どちらかというと粘る素材を使ってしっかりさせているので、しなり戻りも穏やかなシャフトです。グラファイトデザインでの核になるモデルです」と、クセの無いシャフトの代表的な1本と評する。
最近のシャフトはミスヒットしてもヘッドのねじれを抑えたり、ヘッドの加速感を強めたり、“シャフトの恩恵”を受けられるモデルが人気。その一方で「選手によってはそうした性能が当てづらいと感じることもあるでしょう。『PT』はプレーヤーが動かしてしならせるため、コントロールしやすいと感じる選手も少なくありません。ミート率が高いことが平均的な飛びやスコアに直結するので、『PT』を好む選手がいるのだと思います」とシンプルさがウリになっているようだ。
『PT』以外にもクセの無いシャフトを好む選手は多い。稲見萌寧や男子の金谷拓実もUSTマミヤの8年前のモデル『ジ・アッタス』を使い続けている。「クセの無いシャフトは、クラブの動きを阻害するものがないので、一度手になじむと替えられないという選手も多いです。逆にスイングに迷ったときには、クセの無いモデルで糸口を探すケースもありますね」と、シャフトの恩恵を受けるのか自分のスイングでコントロールするのかがタイプに分かれるという。
シャフト1つでヘッドの挙動は変わるし、変えられるもの。やはり一発の飛びも魅力だが、飛ばしの原点はミート率。しっかり芯でヒットできる自分なりに振りやすいシャフト選びが一つの要素になりそうだ。
■解説・関雅史
せき・まさし/QPさんの愛称でおなじみのティーチングプロ。最新のクラブ性能に詳しく、ギアの性能をいかすスイング指導も高く評価されている。自身のスタジオ「ゴルフフィールズ」でのフィッティングとレッスンは予約が取りづらいほど大人気
