<富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 初日◇10日◇石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇6580ヤード・パー72>
ここまで5試合に出場し、予選落ちが4試合。苦しい春を過ごしてきたツアー通算1勝の稲垣那奈子が、石坂GCでのトーナメント記録となる「65」をたたき出し、単独トップの座についた。「何をやっても悪いイメージだったし、きょうのスコアもなぜ?という感じ。でもオフから取り組んできたことが形になりはじめているのかな」。本人も驚きのビッグスコアだ。
グリーン手前から残り25ヤードのアプローチを2メートルに寄せて“おはようバーディ”を奪った1番パー5から、流れはよかった。2番は1.5メートル、6番は2メートル、そして7番も3メートルとチャンスを次々とものにする。「取りたいホールで取れました」。その後もショットをピンに絡め続けた。
フェアウェイキープ率は71.4%(10/14)、パーオン率は83.3%(15/18)と冴えたが、このショットが開幕から苦戦する要因にもなっていた。「どこに飛ぶか分からず、距離感も合わなかった。今は考え過ぎるのをやめた。今の状態では打ちたいところに打てないのに、そこばかり狙っていた。その考えから解放されたら楽になった」。開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」2日目に「85」を叩くと、続く「台湾ホンハイレディース」2日目には「88」というプロワーストスコアも経験。「コテンパンにされました」と、苦い記憶ばかりが頭を埋めていった。
そこからは試行錯誤の日々。グリーン上でも、台湾翌週の「Vポイント×SMBCレディス」2日目からエースと長尺のパター2本を携えてプレーするなど、とにかく変化を求めた。
「アクサは長尺、ヤマハは短いのを使って。手が動かないわけではないけどショートパットが決まらないから長尺も試しました」。これにより体を使ってパッティングする重要性も再確認。トレーニングに時間を使ったオフの成果により、ヘッドスピードが41.5m/sから43m/sにアップ。8番アイアンの飛距離が132ヤードから140ヤード伸びるなど、いい予兆もしっかりとあらわれている。
3月には出身校の早大から『校友会稲魂賞特別賞』を授与された。昨年6月の「リゾートトラストレディス」で、早大卒の女子選手として初のツアー優勝を果たしたことで贈られた賞だ。授与式では、『ドラゴンクエスト』の生みの親であるゲームデザイナー・堀井雄二氏らとも同席。「あまりゲームはやらないのですが、スライムが好きですと言ったらよろこんでくれました」という貴重な時間も過ごした。母校からの期待も高い。
「初日がよくても2日目に落とす。明日、気をつけないと」。ダイキン、台湾でスコアを崩し、鬼門になっている2日目をポイントに挙げる。「地に足をつけて、やれることを1つ1つやっていきたい」。その先に復調、さらにはツアー通算2勝目が待っている。(文・間宮輝憲)
