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【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】ルール適用に忖度(そんたく)はいらない

【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】ルール適用に忖度(そんたく)はいらない

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2018年5月8日 21時18分

『スロープレー』という言葉には2種類の意味がある。1つは、規則6-7『不当な遅延』を意味するもの、つまり罰打の可能性を含む規則違反となるもの。もう1つは、ガイドラインには抵触しないが、周囲を不快にしたり、迷惑をかけるもの、いわゆるマナー違反にあたるもだ。

今回の最終組は、ガイドラインには抵触したが、ペナルティ(罰打)を受けるまでには至らないと競技委員会に判断されたということだが、それにしては、最後まで優勝争いを繰り広げた2人のコメントには天と地ほどの違いがあった。

「3人ともあまりにも慎重になって遅くなってしまった。競技委員が来たことで自分たちがそう(遅い)とわかってペースを上げた。それを知らせてくれたから(警告による)心の動揺はなかったです」と、笑顔のまま話した勝者、申。それに対して、敗者となった鈴木は悔しさをにじませた。「走らされるとは思っていなかった。申ジエさんが遅かったので、気持ちよくはプレーできていないです。もうちょっと速くプレーしていただければ(自分の)時間を使えたのに」。勝負の世界に生きる限り、敗者の言葉が負け惜しみに聞こえてしまうことをわかった上で、言葉を選びながらだが、ハッキリと非難している。

「スロープレーヤー」のレッテルを張られた選手は、ツアーに何人もいる。だが、今回同様、罰打が下されない限りは、それが“矯正”されることはない。ルールを作った以上、的確に運用していくことが何よりも大切だ。配慮と忖度(そんたく)は表裏一体。理由をきちんと説明できれば配慮だが、言葉にできないのでは忖度(そんたく)といわれても仕方ない。

かつて米国女子ツアーでは、ツアーを牽引する人気者、ナンシー・ロペス(米国)にスロープレーの裁定を下し、罰打を与えたことでその後のスロープレー対策に大きな効果をもたらしたことがある。ロペスがスケープゴートになった、といい換えることもできるが、影響力は絶大だった。

優勝争いの真っただ中に、スロープレーで罰打にまで至る裁定を下すのは勇気のいることではある。だが、ルールを厳しくしても、その適用に忖度(そんたく)が伴うのでは、絵に描いた餅。世界的にも、プレー時間を減らし、ゴルフを普及させるためのルール変更が2019年に行われるという流れにある。すべてのゴルファーの手本となるプロのプレーのスピードについても、本人たちの自覚を促したい。

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