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スイッチのオフとオン 上位2人から見る難コースへの対峙の仕方【辻にぃ見聞】

スイッチのオフとオン 上位2人から見る難コースへの対峙の仕方【辻にぃ見聞】

配信日時:2018年4月3日 07時06分

「もともとゴルフの組み立て方すべてがうまい選手だから、70点くらいの状態が出たらその状態でいっても勝てるな、という選手。彼女はアプローチやショートゲームが抜群にうまいですからね。グリーンを外してからのリカバリーのうまさは天下一品です。それが葛城でも冴え渡った、という印象ですね」

また、辻村氏が今回のキャディを務めた保科隆氏に聞いたところによると、アンは予選ラウンドと決勝ラウンドで戦い方を変えていたという。「保科さんは“アンさんはスイッチを2つ持っている”と話していました。予選ラウンドはスイッチを入れず、ガツガツいかない。そしてムービングデーにギアを一段アップ。さらに最終日の後半で最後のスイッチを入れたときの集中力はすさまじいものがある、と話していました。だから25勝もできる、とも」。余力を残して最後に全力を注ぐ。4日間大会のお手本のような戦い方だった。

そんなサンデーバックナインでの、アンのすごさを感じたのが16番。「15番でチップインバーディを奪って、上がった16番のティグラウンドにはリーダーボードがあるんです。目に入らないわけが無い。自分が単独首位に立ったことを知ったと思うんです。迎える16番は葛城で難易度が一番高いホール。ティショットからいやらしい。そこで力感もちょうどいい、とても良いスイングをしていたんです。さらに2打目ですね。この日は左ピンで奥は絶対にだめ、引っ掛けも禁物の場面で、しっかり右下5メートルに乗せてパーを獲りました。このショット、この勝負強さ。まさにトップギアでした」。

もう1つ今回、注目すべき点として、前回優勝した「PRGRレディス」からヘッドだけで4本、シャフトを含めれば大幅にクラブをチェンジしていたことが挙げられる。アンは「土佐は寒かったけど、今週は暖かい。それによって、いいクラブも変わってくると思うんです。今週、ドライバーを修正しているときに合ったシャフトにしました」と話している。ここにも辻村氏は強さを感じた。

「普通は調子が悪いからクラブを変えるんですよね。でも、アンさんもそうだし、ヤマハからドライバーを変えたジエさんも、いいものがすでに手元にある中で“さらに1ヤードでも伸ばそう”、“さらに曲がらないものを”と新しいクラブを試しています。これはどのクラブにでもアジャストできる技術、そして自分の道具選び・感性に自信を持っていないとできないこと。そして、Tポイントの鈴木さん、アクサのフェービーさんもそうでしたが、その週の初日にいきなり別のパターにして勝っている。これはフィーリングの微妙なズレを分かるからできること。まさに契約フリーの真骨頂と言えるのではないでしょうか」

■敗れた菊地絵理香も僅かな差 切り替える力が調子の悪さを帳消しに
一方、2位に4打差をつけてスタートした菊地絵理香は、前半でダブルボギーを叩くなど苦しみ前半で2位後退。バックナインで一時は首位に返り咲く強さを見せたが、そこから伸ばせず2位で終わった。

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