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「あの時期、一生分の注射を打ちました」 なかなか判明しなかった“激痛”の原因【小祝さくらが明かす“ケガとの8カ月”・前編】

国内女子ツアーの2026年開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」で復帰を果たした小祝さくら。その試合前にケガと向き合った8カ月間を本人が明かした。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2026年3月5日 12時00分

初めての手術を決断した昨年。その時の心中などを聞いた。(写真:本人提供)
初めての手術を決断した昨年。その時の心中などを聞いた。(写真:本人提供)

ツアー通算12勝の小祝さくらにとって、2025年はこれまでに味わったことのない時間を過ごすことになった。左手首の『TFCC損傷(尺骨側手関節三角線維軟骨複合体損傷)』により、1ラウンドのみのプレーで棄権した7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」を最後にツアーを離脱。手術に踏み切った。それから8カ月。26年の開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」でツアーに戻る直前の小祝にインタビューを行い、ケガとの戦いの日々を振り返ってもらった。前編はケガ発症時のこと。(取材/構成・間宮輝憲)

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■“10%未満”から驚異的なスピードで取り戻した自信

「完全に元の状態に戻ったわけではないけど、痛みはなく来ることができています。(練習再開時)最初は怖さもあったりしたけど、そういうのも少しずつ克服しながらやってきました」

現在の患部について話す小祝にとって、長期離脱を決意した時から復帰の照準は、沖縄で行われる開幕戦だった。そして無事、それを達成。しかし、“出られるかも”と思えるようになったのは今年に入ってからで、状態が上がっていることが感じられた1月末だったという。そこに至るまでは不安、焦り、失望…心中にさまざまな感情が渦巻いていた。

「最初は怖くて(クラブが)振れなかった。また痛めるのも怖かったし、無理はしない程度に。でもそれでは、(ボールに)当たらないし、狙ったところにも打てない。距離も飛ばないという感じでしたね。ただ、ある時に『大丈夫かも』と思い、振ったら大丈夫だった。そこからですね。しっかり打てるようになりました」

小祝が復帰へ向けクラブを握ったのは昨年12月に入ってから。キャリアのなかで、いくつもの優勝を積み重ねてきたトップ選手といえど、再開直後はシャンク、トップなどアマチュアゴルファーのようなミスが続いたという。

「(この時の状態は100%で言うと)10%もなかったくらい。3月の開幕を目指していたので『これ間に合うのかな?』という気持ちになっていました。『3カ月後、ちゃんと試合に出られているのか?』とか。(ボールに)当たってないし、怖いし、手首には違和感もあるし、不安しかなかった。無理かなと思ったこともありました」

それでも年が明け1月18日から2月13日までハワイ合宿を敢行。2月にも1週間の宮崎合宿を行うなど精力的に汗を流した。1月からはフルショットをしても大丈夫という病院の先生からのお墨付きにも背中を押され、状態を上げてきた。12月には10%未満と感じていた状態は、開幕直前期には「65~70%近く」まで上がっていた。驚異的ともいえる仕上がりスピードだ。

「12月には想像できなかったですね、初めての手術だったから、どういう風に経過していくのかも分からなかった。不安、焦りもあったんですけど、今、考えると、術後すぐによくなるわけはないんです。でもその時はいろいろと考えてしまいました。ただ、そこから意外と順調に来てる気はしています」

■当初の診断は腱鞘炎…消えない痛み

小祝が手首に痛みを覚えたのは、昨年7月に行われた「資生堂・JAL レディスオープン」。ディボットにはまったボールを打った際、最初は右手首を痛めた。優勝した同月の「明治安田レディス」も、その痛みを抱えながらプレーしていたことを、当時、明かしている。右手首をかばいながらプレーした影響が左手首に出た、それが見解だ。

「左手首を痛めた時期は、痛すぎて骨が突き出たかと思うくらいでした。痛いし動かせないから、すぐに病院に行って。休めば治るんです。最初は腱鞘炎と言われたので、アイシングやケアもしっかりしていて。頑張れば、すぐに試合にも出られると思っていました。でも全然予想と違って。痛みは取れるんですけど、ゴルフはまったくできない。10ヤードのアプローチを打つだけで激痛が走りました。練習場まで行って1球だけ打って断念したり。これは無理だと思うようになりました」

大東建託・いい部屋ネットレディスの翌週に控えていた海外メジャーの「AIG女子オープン」(全英女子)は早々に出場回避を決めたものの、さらにその翌週に行われた「北海道meijiカップ」には『出られる』と思っていたほど、当初は楽観視していたという。だが、日が経つにつれ、これが“腱鞘炎”ではないことを痛感するようになる。

「他の病院に行っても腱鞘炎って言われました。だから『なんでこんなに痛いんだろうな』って。確かに私生活ではまったく痛くないんです。ゴルフだけ。手を返す動きが痛すぎて。この時は、電気治療や、大谷(翔平)選手もやったPRP注射も試しました。一生分の注射を打ったんじゃないかというくらい、この期間は注射を打ってましたね。もともと針が嫌いで…痛かったですね」

診断結果と痛みの内容が伴わない日々。ようやくはっきりと原因が分かったのは、4件目に訪れた病院だったという。

「最終的に行った病院で『すぐに手術を』と言われたんです。まさか手術をするとは思ってなかったですし、選択肢にもなかった。『あ、手術なんだ』って。でも、どうせだまっていてもよくならない。痛みと戦うなら手術して治る可能性を信じたほうがいいと思って、一日で決断しました」

この時点でも、まだ8月に開催される所属先の冠トーナメント「ニトリレディス」出場の可能性を模索していたという。ただ、それも練習でボールを1球だけ打ち、やはり諦めた。それほどの激痛と戦っていたのだ。そんな折に告げられたのが、『TFCC損傷(尺骨側手関節三角線維軟骨複合体損傷)』だった。そして9月8日、今季の残り試合すべてを欠場することが発表される。(後編へ続く)

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