＜資生堂 レディスオープン 初日◇27日◇戸塚カントリー倶楽部 西コース（神奈川県）◇6697ヤード・パー72＞
今週で国内女子ツアーは第18戦。前戦は悪天候の影響で競技が延長され月曜日が最終日となった。休む間もなく、次戦が始まるというタイトなスケジュールのなかではあるが、さて、その展望はどうなるのか？ 青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が展望を読む。
■伸ばし合いになる予感…その理由は？
今年のコースの総飛距離は6697ヤードと、昨年よりも92ヤード長くなっている。しかしグリーンは「例年よりも軟らかい。スピードもそこまで出ていない」ということもあり、その展開については「完全に伸ばし合いになりますね」と読むことができる。そして狙ったところにしっかり打てる、ショットメーカーが上位に来ることを大西氏は予想した。
ラフは去年よりも長くなっていて、選手たちも「いれてしまうと厳しい…」と話すほど。大西氏も「場所によってはボールが見えないぐらい」とそこを警戒している。マネジメントとしては「刻んでもいいからフェアウェイに置くというところ」。やみくもにドライバーを打てばいい…というわけではない。
「それにフェアウェイに近いラフが一番長いです。もし曲げるんだったら、とことん曲げてしまったほうがいいぐらい」。ちょっとのミスこそ、大きなケガにつながるかもしれないというのは難しいポイントだ。「刻むんだったら徹底して刻んで、フェアウェイセンターへ。ドライバーを持ったときは決め打ちして、（ラフには）行ったら仕方がないよねと開き直ること」。メリハリをつけながら、時には腹をくくる、それが大事と話す。
今週の天気は一日中、日が出ているわけではなく曇りに時々雨が混ざることで“蒸し暑い”気候が予想される。その影響からなのか、グリーンは例年よりも重く感じられている。「グリーンはこのまま行ったら軟らかい。しっかり打てる選手、決め打ちできる選手が上位に来ると思う。決め打ちできるということは、パッティングの調子も良いという証拠になりますので」。ショット力、パッティング力がともに高い選手がリーダーボードの上に名前が来ると踏んでいる。
■過去に優勝、優勝争いを経験した選手が有利と予想
「良いイメージがあればスコアが出るし、悪いイメージがあるとスコアは出ないというように感じられます」。コースとの相性も重要だと説く。「勝った人や上位に行った人がイメージ良く回れるのでは？というのが、このコースの印象です」。
そんな観点でも気になるのが、昨年覇者の櫻井心那。「去年この試合で優勝して、すごい弾みをつけたと思う。練習場で見ている感じも良くなってきている」。今季15試合中7試合で予選落ちを喫し、まだ思うような結果が残せていないが、櫻井本人も「良くなってきている」と話すほど、復調の気配も。「勝ったことがある選手がすごくチャンスがある」という部分に合致する。
さらに、良いイメージを持っている経験者として鈴木愛、桑木志帆の名前を出す。鈴木は2021年大会で優勝しており、桑木は昨年大会でトータル10アンダーの首位タイでホールアウトしプレーオフに挑んでいる。悔しくも敗退してしまったが、「この悔しさを一番晴らせる場所だと思うんですよね。桑木さんもいますごく飛んでいて、パターの調子も上がってきているので」と大西氏は“リベンジ劇”にも期待を込める。奇しくもこの3人は、予選ラウンドを同組でプレー。初日は昼の12時にスタートと熱いせめぎ合いに注目したい。
「暑さもありますが、金曜日は天気が雨予報になっている」。昨年は気温が35度を超え、選手たちは暑さにも苦しめられた。それに比べて今年は比較的に涼しい気候。「涼しさも感じられるのはプラスになるのではないかなと思っています」。コンディションも伸ばし合いを後押ししそうだ。。
解説・大西翔太（おおにし・しょうた）/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす！！ 飛距離アップの正解』が発売中。
