1つ目がグリーン周り。「アメリカならではのふわっと上げるアプローチですね。今までだったら“きついかな”と思っていたような状況でも寄せていました」（森本氏）。古江自身が「一番のキー」といった6番ホールではグリーン左、残り12ヤードのショートサイドで、ライはツマ先下がり左足下がりという上げにくい状況から、フワリと上げるアプローチを1.5メートルに寄せパーをセーブ。様々な芝、状況で戦ってきた真価が発揮された場面だった。

もう1つ森本氏が挙げたのは「去年の富士通と比較してクラブが少し振れるようになったと思います」ということ。つまり飛距離が伸びていると感じたのだ。この“少し”という部分が辻村氏はキモだという。

「古江さんの良さはスイングのテンポとリズム、そしてバランスの良さです。それが抜群の安定感を生み出しているのです。だから、無理矢理に飛距離を求めて振ろうとすれば良さがなくなってしまう。その良さを残したままレベルアップしている。何より一年間アメリカで戦ってきて、自分のゴルフスタイルを見失わずブレずに戦っていることが素晴らしいです！」

自分の良し悪しを踏まえた成長。そのクレバーさも古江が世界で戦える強さの1つである。

解説・辻村明志（つじむら・はるゆき）/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、松森彩夏、吉田優利などを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。