何が大胆だったのかというと、失敗を恐れず一気に書ききったのだ。一球一球状況が変わり同じシチュエーションが二度とないゴルフは、一期一会のスポーツだともいわれる。渋野が全英優勝を決めた18番のバーディパットも、二度と同じ状況はないだろう。
ゴルフが一期一会なら書道も一期一会といわんばかりに、渋野は自身のトレードマークの笑顔にちなんだ「笑門福来」を一気に書ききった。その姿に、思わずピンチに追い込まれても躊躇なくフィニッシュまで振り切るスイングが重なった。
「コースマネジメントを考えて弾道をイメージしたら、打つことだけに集中してクラブを振る。あらためて考えると、書道とゴルフは通じるものがありますね」
そういえば、ジャンボ尾崎の筆さばきも一流だ。迷いのない線を書く者は、ミスを恐れずクラブを振り上げていけるのだ。さて、筆と墨を用意して、一筆したためてみませんか。そこにあなたのスイングの迷いを見て取れるかもしれませんよ。