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女王の可能性はなくとも… 夕暮れに浮かび上がった鈴木愛の渇望【記者の目】

女王の可能性はなくとも… 夕暮れに浮かび上がった鈴木愛の渇望【記者の目】

配信日時:2021年11月16日 07時30分

「良い時と悪い時の差がすごく激しい。もう残り試合もないし、ちょっとずつ本当に良いところも増えてきて、パーオンも増えたり、良いパットだったり、良いショットが増えているので、それが1日でも長く続けばいいなと思う。今までは本当に1日に何ショットしか良いのがなかったっていうところから、1日良いラウンドも増えてきましたし、それが1日になったり、2日になったり良くなってはきています」

まとめれば「いいプレーをしたい」ということで、長い時間練習していたということだ。何を当たり前のことを、と思うかもしれない。それがプロゴルファーだろ、という考え方もある。だが、このシーズンの終盤になっても、その一点だけを考えていることにらしさを感じたのである。

新型コロナウイルスの影響で2年にわたる長期となった今シーズン。2季連続での賞金女王へのプレッシャーが重くのしかかるなか、多くの試合が中止となりイレギュラーな調整を余儀なくされた。あえてクラブを握らずに過ごしたが、再開後なかなか成績はついてこない。

延期となった東京五輪の代表にはもう届かなくなっていた。練習しても練習してもうまくいかない。成績も出てこない。「自分がこんなに落ちぶれたんだと感じるのが怖かった」と気づけばゴルフを避けるようになっていた。そんな日々を乗り越えて7月の「資生堂レディス」で2年ぶりの優勝を手にした。だからといってすべてがよくなったわけではなく、10月には3週連続で予選落ちを喫するなど、その後も実力からすれば物足りない数字が並んだ。

そんな2年間を過ごしてもなお、一休みして来年また仕切り直そうとならずに、ただ純粋に「あしたいいプレーをしたい」、「今週いいプレーしたい」と思い、誰よりも練習する。もちろん、練習量をやればいいというものではないがしっかりと結果にもつなげた。これこそが鈴木愛の最大の武器なのだ。

ちなみにその最終日、ただ一人ホールアウト後にパッティング練習を行った選手がいた。そう、横峯さくらである。やはり女王たちはただものではない。(文・秋田義和)

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