プレーオフ4ホール連続バーディで世界60勝目　申ジエは同一大会4勝目のコースに「家族のよう」

「ずっと真ん中くらいなんです。良くも悪くもない。そこが分かれば調整できるのですが、上がりもしないし下がりもしない。一番難しかったですね」。たとえいいプレーをしても、今までのようにそこから上げていけない。だからと言って悪すぎるわけでもない。はっきりしない調子が3カ月も続いた。

そんなモヤモヤを払しょくできたのは、愛してやまない袖ヶ浦だったから。「昨日のプレーが終わった後、自分の中でいい雰囲気に変わった。今日はいい勝負になると思った。このコースとの縁で、いい気持ちに変わったと思います」と3勝を挙げたコースは自らを奮い立たせてくれた。

さらに失いかけていたものも取り戻した。「ツアーの中でもグリーンが一番小さいコース。それが私のアイアンとかのセカンドショットの攻略的に合うと思っています。そして、私が厳しい狭いコースが好き。ここだと木もいっぱいあるし、緑な感じも幸せになる。そのなかでいい気持ちでいいプレーができた」。

さらに勝手知ったる攻略法もジエを後押し。「今日は昨日までと逆の風で、パー4はアゲインストが多かった。それで周りの選手はスコアを落としたと思います。でも私はそれを分かっていたし、ショットも良かった。それをいいチャンスに変えられた」。“家族のような安心感がある”というコースの“追い風”も味方に、この日のベストスコアで一気に追いついた。

今回の勝利により、全世界で積み上げた勝ち星は60個目となった。日本では25勝目（メンバー登録前の勝利除く）。永久シードにあと5つと迫った。「今回の優勝で自信がつきました。賞金女王はまだ差がたくさんあるのでわかりませんが、永久シードという目標もある。いろんな目標を達成できるように頑張りたい」。

ジエの言うように賞金ランキング1位の小祝さくらとはまだ約6500万円の差があるが、来週の「アース・モンダミンカップ」は優勝賞金5000万円。ほかにも高額賞金大会は多数残っておりチャンスは十分ある。そのことについて聞かれたジエは一言「ネバーギブアップですね（笑）」とニヤリ。いまだ届かない韓国、米国に続く3カ国目の女王の座へ。袖ヶ浦から反撃ののろしを上げる。