距離だけではない。おざなりに作られた赤ティ(この多さは、経験した者でないとわからないかもしれないが)は、とんでもないアングルで打ちにくかったり、傾斜がきつかったり、下の状態が悪かったりすることも少なくない。残念ながら「赤いティ? 作っときゃいいんだろ」というおざなりな感覚が露呈してしまう。アリバイ的な赤ティというわけだ。
サニーティは違った。ワーケーションのため9ホールしか回れなかったが、18ホールプレーした人の証言も併せると、みな平らで、アングルもライもきちんと作られていた。
サニーCCだけではなく、千葉夷隅GCのグリーンティや、PGMのピンクティなど、赤より距離の短いティを設置するコースは増えつつある。だが、ゴルファー自身の意識がもっと変わっていかないと、せっかくのゴルフの良さが半減してしまうことになる。
自分より飛ばない人のスコアや飛距離に対して「どうせ赤からだろう」という発言。年齢を重ねて以前より飛ばなくなった人に、同じティを使うことを強要する姿勢。公式競技でもないのに、使うティを決めつけることなどもってのほかだ。
ゴルフは、ダイバーシティ(多様化)が叫ばれる現在の社会にぴったりと合ったスポーツだ。ツアーであれ、レッスンであれ、それに関わるプロたちは、そのことをもっとアピールしてはどうか。それぞれのゴルファーに適したティを使って楽しむことの楽しさ。お互いをリスペクトしあった上でプレーすることの素晴らしさは、どんな形でも伝えられる。女子プロにできることはさらに多いに違いない。(文・小川淳子)