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大坂なおみの勇気に思う【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

大坂なおみの勇気に思う【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2020年9月15日 18時00分

ニコラ・ベネット(イングランド)もジャスティン・ローズ主催の大会で抗議
ニコラ・ベネット(イングランド)もジャスティン・ローズ主催の大会で抗議 (撮影:GettyImages)
黒人差別に対する抗議運動BLM(Black Lives Matter)を、全米オープンの大舞台で行いながら優勝したテニスの大坂なおみ。差別の被害者の名前が書かれたマスクを毎試合つけて登場することで問題を提起。優勝インタビューでは「マスクを見て話し合いが増えるといいです」と話していた。

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人種差別がなくならないどころか、コロナ禍でひどくなっている米国。大坂の行動には、批判もないわけではないが、スポーツ選手やアーティストが政治的な主張をするのは珍しいことではない。ゴルフ界でもPGAツアーの選手は人種差別に治して堂々と意見を公表し、キャメロン・チャンプ(米国)は、試合中に白と黒のシューズを片方ずつ履くなど、抗議活動を押し出した。

ところが、日本では「スポーツの政治利用」といういい方で、批判が噴出している。アスリートやアーティストが政治的な発言をすることをタブーとするおかしな風潮があるからだ。「テニスプレーヤーはテニスだけをしていればいい」、「シンガーは歌だけ歌っていればいい」と。だが、アスリートもアーティストも、その立場以前に一人の人間だ。政治的な主義、主張があるのは当たり前。影響力が大きいことを踏まえた上でそれを表に出すことは決して悪いことではない。むしろ自然なことだ。それなのに、一般人の間でも議論を嫌う、事なかれ主義の風潮から、これを受け入れない人が多い。

そもそも、大坂が問題提起したBLMは、政治的な主張以前の問題だ。世界中の人間は平等であるべきで、人種差別などもってのほか。日本人にはピンと来ないかもしれないが、そんな基本的なことが、あたり前になっていないのが米国だ。白人以外はマイノリティー。黒人ほどには差別されなくても、アジア人も差別されることもある。

その異常さを訴え、撲滅のために議論してほしい。そう考えて批判を恐れず、行動した大坂の勇気には敬意を表したい。あれほどのトップアスリートになれば、スポンサーもたくさんついており、中には今回の行動をよく思わないところもあるかもしれない。そのことに忖度(そんたく)せず、行動を起こしたのは人間としての気持ちが強く、プレーヤーとしても自信があるからに違いない。もし、これを理由にスポンサーを降りる企業があるとすれば、そちらのほうが恥ずかしい。

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