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笹生優花と小祝さくらの勝敗を分けたもの 「ショットは負けてない、グリーン上は笹生さんが断然上だった」【辻にぃ見聞】

笹生優花と小祝さくらの勝敗を分けたもの 「ショットは負けてない、グリーン上は笹生さんが断然上だった」【辻にぃ見聞】

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2020年9月1日 12時48分

「やはり勝敗を分けたのはパッティング。笹生さんはまったくミスパットをしていない。出球とボールスピードが、打った瞬間から合っていた」

確かに、なぜだかはわからないが、笹生には構えたときから入りそうな雰囲気が漂っていた。「それは、姿勢も目つきも、打つまでの間合いも含めて、入りそうな『オーラ』として見えるんだと思います。不安な人の姿勢ではない。小祝さんは打った瞬間に『弱い』というのが何回もあった。笹生さんにはそれがない。特に3m、4m、5mのミドルパットで、浅めのラインで打てていたんです」と辻村氏は説明する。

ここに、今季プロデビューから3戦で2勝を挙げた笹生の凄みがある。「飛ばし屋というのはパワーに走りがちだから、アプローチやパッティングで繊細なタッチが出てきづらかったりするものなんです。タイガー・ウッズダスティン・ジョンソンは別ですけど。笹生さんはすごく飛ぶのに、距離に対しての勘もいい。今までの日本の女子にはいなかったタイプだと思います」。

ニトリレディスの最終日は大雨でグリーンスピードは遅くなり、多くの選手が対応に苦しんでいた。なぜ、笹生はショートしなかったのか? 「パッティングのフィニッシュで『ビタッ』と止まるのが驚異的。『ピタッ』ではなく『ビタッ』なんですよ。フォローをなるべく小さめに抑えてフェース面を打ち出したい方向に向けているから、緩まず打ち抜けるし、タッチが合う。断然笹生さんのほうが上だった」。笹生自身、「パッティングはタイガーを参考にしている」と公言している。ウッズはゆっくり大きくストロークするのではなく、小さなストロークでしっかり強く打って、4大メジャーで15勝を積み上げた。

ただ、小祝のパッティングがそこまでひどかったわけではない。笹生が良すぎたのだ。今シーズンの平均パットを見ても、小祝は14位と上位にいる。ただし笹生は2位なのだが。「狙うパットと寄せるパットの柔軟なメリハリ、状況判断は小祝さんにもある。ただ2人を比べてしまうと負けている。本人がその差を一番分かっているはずです」と辻村氏はいう。

そして試合が終わった後、小祝には「次またやろう」と伝えただけで、反省の言葉は1つもかけなかった。「16番くらいで万事休すとなったときの、あの表情はあまり見たことがない。悔しそうな顔を見たら、私がとやかく言う必要はないと思ったのです。これまでも彼女は負けた分だけ強くなってきた。また強くなるはずです」。翌朝、いつもと同じように元気にトレーニングする小祝の姿があった。

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