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克服した“左の池”のトラウマ 「長かった」柏原明日架がプロ6年目で初V

克服した“左の池”のトラウマ 「長かった」柏原明日架がプロ6年目で初V

所属 ALBA Net編集部
秋田 義和 / Yoshikazu Akita

配信日時:2019年9月29日 16時42分

また、優勝争いをしているときに今まで以上に弱気の虫が出てくるようになった。何かやらかしてしまうのではないか。ネガティブな思いはマネジメントから勇気を奪い、パッティングは届かなくなる。“最も初優勝に近い選手”の愛称は、いつまで経っても離れてくれなくなっていた。

奇しくも今大会の舞台、利府ゴルフ倶楽部の15番ホールも左に池があるパー3だった。予選の2日間はパーでしのいでいたが、2位以下に4打差をつけて単独首位で迎えたこのホール。追いかけてくるのは“黄金世代”の畑岡奈紗。悪い予感めいたものは当然あった。それでも自分にいい聞かせた。「“自分ならできる”と思ってティに立ちました。キャディさんの声も、声援も大きな力となった。逃げないで行く」。

7番アイアンで放ったこのティショットはグリーンをオーバーしたが、自分を大きく変える一打となった。「ピンに対して攻めていけた。逃げてミスしなかった。前向きにトライできたと思う」。ここをパーとし優勝を確信、17番ではボギーを叩いたが強気のパッティングがオーバーして3パットとなったもの。攻める気持ちを失わず、最後まで弱気の自分に打ち勝った。

初優勝を挙げられただけでなく、“苦手”としていたロケーションを克服できたことは大いに自信になる。「これで少し払拭できたと思います。今となっては苦しんできたことも良かったと思えます」。びびっていた自分はかなり小さくなった。

次戦は因縁の「日本女子オープン」。コースは違えど、思いの詰まった大会であることに変わりはない。「多くの人に支えられて優勝できました。その感謝の気持ちはきょう十分に味わいたい。そして早く2勝目を挙げられるように、火曜日からまた気持ちを切り替えて頑張りたいと思います」。弱気な自分を隠すための強気な発言ではない。自然体の強さを持つ23歳がそこにいた。(文・秋田義和)

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