■調子が悪い成田が取った“戦術”の理由
ただ辻村氏は今回の成田の優勝を見て、「不思議な勝ち方」と正直な印象を話す。
「ここ最近の成田さんを見ていると、決して調子がよさそうではありませんでした。優勝する選手は、だいたい『いい感じになってきたし、そろそろ勝ちそうだな』と思うものですが、成田さんは“突然”という印象を受けました」
富士通レディース以前の5試合を見ると、予選落ちが3度。「ゴルフ5レディス」は9位だったものの、「日本女子オープン」はトータル5オーバーの45位タイと、好調な選手の成績とは決していえない。それは成田も自覚していたところで、それが前述した「ここで勝てるとは…」という発言につながってくる。
そんななか辻村氏は、「今大会はドローボールを多用した」という成田の言葉を聞き、「右バンカーの位置などを考えると、ティショットはドローヒッターが打ちやすそう」と前置きをしたうえで、こう心中をおしはかった。
「フェアウェイも広くて、ティショットのストレスがあまりないコースですが、広いからこそクラブを振り回してしまい、調子が悪くなるということもある。こういう時こそ、『イメージ』と『球筋』をしっかりと作らないといけません。狭い時のほうがターゲットが絞れる分、集中して臨むこともできる。成田さんも、ただ漠然と打つのではなく、しっかりと球筋を作るという意図を持ち、そのうえでドローの方がイメージが湧きやすかったのかもしれませんね」