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香妻琴乃の涙に隠された理由 周囲の人々が語るその“素顔”【記者の目】

香妻琴乃の涙に隠された理由 周囲の人々が語るその“素顔”【記者の目】

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2018年9月18日 18時22分

「ゴルフが嫌いになりました」

このQT失敗時には、こんな思いもこみ上げてきたという。そして「レギュラーツアーにも出られない。ファンやスポンサーの皆さまに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。スポンサーさんについてもらっている意味はあるのか…」と自分を責めた。今年は4年ぶりにステップ・アップ・ツアーにも戦いの場を求めた。「どんな成績でも必ず試合会場に来てくれるファンの方々や、1日活躍しただけでも“ナイスプレー”って連絡をくれる人達が、私が思っているよりもたくさんいることに気づきました…。その人達のためにも、早く優勝したい」。それがモチベーションだった。

「あまり苦しいこととかは話さず、ガマンする子なんです」。そう明かすのは、香妻の母・かおりさんだ。腰痛、成績不振などで苦しんでいる時も、母との会話では「よく女同士でするグチなんかはありますけど(笑)。私にはゴルフの話はできないし、他愛もない話ばかりですよ」と、苦しい時でも弱音を吐くことはなかったと母は振り返る。

また、こちらも香妻をよく知る、所属先のサマンサタバサの畠山恩(めぐみ)さんは、「痛み止めを飲みながらラウンドする姿なども見ていました。でもそんな時でも弱音は吐かなかった。こちらが『大丈夫?』って聞いたりすることはありましたが、身近な人以外には、辛い顔を見せない選手です」と明かす。ただ、苦しんでいた時期は「ゴルフをしていても『楽しそうじゃないな』と思うこともありました。早く笑顔が戻って欲しい、それだけでした」。そんな姿が頭に残っている。

初優勝を決めた瞬間、会場で一緒に涙を流した畠山さん。その後、香妻とともに新幹線に乗り東京へと戻った。プレーオフで敗れた14年のミズノクラシックの際にも2人で帰京したこともあり、車内では「そういえばミズノの時も一緒に帰ったね」と、思い出話にも花が咲いたという。そして今回、当時とは違い優勝を決めて帰る香妻の姿を見た時、畠山さんは「注目されてきた選手ですし、ホッとしたのかなという印象を受けました。そして、もう次の目標、ステップに向けて気持ちを切り替えていました。4年前に比べて成長を感じました」と目を細めた。

今年7月の「サマンサタバサレディース」の会場で香妻に話を聞いた時、「ずっとパターさえよければ戦えると思っています。ショットはいいので」と現状を話していた。低迷期には「1〜2メートルのショートパットも打ち切れない」と、かつて輝きを放ったパターが極度の不振に陥り、成績に大きく影響していた。しかし6位タイに入った8月の「CAT Ladies」では「パターに自信が戻ってきました」と口にする言葉は内容を変えていた。その時、感じていた手ごたえは、やはり間違いではなかった。

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