年齢を重ねてから、スタイルを変更するのは勇気が必要だったのではと聞いてると、「今は自分のいいときのものをどれだけなくすかを考えている」という答えが返ってきた。さらに「そのイメージが邪魔をしていた。この10年間は成績が出ず、アマチュアレベルになっていた。だから変えるしかなかったんです」とまでいいきった。そして導き出したのが、「“切れ味鋭いドローヒッター ” から“そっと真っすぐ打てる選手”になる」というスタイルの変更だった。
ここ2年は解説やレッスンという形で、ゴルフ界に貢献する日々を送るが、根底には「プレーヤーとして男子ツアーを盛り上げたい」という思いが田中にはある。それは、「一番いい時期にアメリカでプレーして、日本のツアーに貢献してこなかったことには、どこか責任を感じている。だから『男子ツアーが低迷している』という言葉は響いてくるんです。本当はその時期に、僕と丸山(茂樹)さんがもっと引っ張るべきだったのかもしれないなとか思ってしまいます」という“悔恨”にも近い思いからだ。
今後もローカル大会などに出場し、完全復活を目指してのプレーは続く。「また来年(関西オープン出場の)チャンスをもらえたら、予選通過をして、プレーヤーとしてもっと盛り上げたい」。2日目こそ、大きくスコアを落としたが、初日の2オーバーという成績で、自信はさらに深まったともいう。新たな田中秀道像を引っ提げて、再びツアーに戻ってくる日は近いのかもしれない。(文・間宮輝憲)