誰もの脳裏に“58”の2文字が浮かんだ。国内男子ツアー「サン・クロレラ クラシック」の3日目、早朝から行われた第2ラウンドをトータル3オーバー60位タイで通過した石川遼が、続けて行われた第3ラウンドで突如爆発。小樽カントリー倶楽部のコースレコードを更新する“63”を叩き出しトータル6アンダー8位タイに急浮上した。
「石川遼1打速報」で全ストロークを振り返る
「思わぬ形で先が明るくなりました」天候不順による連日のサスペンデッドで苦しんだ予選ラウンドをなんとかくぐりぬけた先にあったのは目の覚めるような青空だった。きっかけは第2ラウンドを終えてすぐに向かった練習場だった。現在トップをこれまでよりもフラットにおさめるスイングを作っている石川だが「チェックをしているつもりだったが甘くなりつつあった。でもショットは悪くなかったので変えようとは思えなかった」良い結果が出ている時は何かを変えることは勇気がいる。しかし、この日の第2ラウンドは3バーディ・5ボギーと崩れあわや予選落ち。後のない状況に追い込まれたことが、石川にもう一度スイングを見直すきっかけを与えた。
36ホールをラウンドするという過酷なスケジュールにも休むことなく練習場で球を打ち続け手応えをつかんだ石川。第3ラウンド1番ティに現れた時は別人だった。1番こそチャンスを逃しパーとしたものの、2番で「右に外すことが多かった」という苦手の下りスライスラインを決めたことで一気に勢いに乗る。続く3番もバーディ、さらに残り200ヤードを20センチにつけるスーパーショットを見せた5番を皮切りに3連続、9番では6メートルを沈め前半30でハーフターン。ショットもさることながらパッティングに悩みを抱えていた姿もそこにはなかった。
「パッティングについて考えることが多くてストロークがゆっくりになっていた。もう少しコンパクトに打つようにしたらそれが上手くいってくれた」それはまさに昨年の絶好調時のリズム。神がかったようにピンに絡むショットが、本来の石川のパッティングも呼び起こした。後半は10番、11番と連続バーディを奪うと、14番でもバーディ。15番では第3ラウンド唯一のピンチといえる2メートルのパーパットを残したがきっちりねじ込むと難しい上がり3ホールでもスコアを落とすことなくホールアウト。日没間近の18番グリーンにギャラリーの拍手と声援がこだました。