『あしたのジョー』『おれは鉄兵』『のたり松太郎』など数々の名作を世に送り出し、日本漫画界を牽引し続けてきた漫画家のちばてつや(本名:千葉徹弥)先生が、10月22日、都内の病院で逝去されたことが分かりました。87歳でした。
ちば先生といえば、漫画史に輝く不朽の金字塔を築かれた大巨匠であると同時に、私たちゴルフを愛する者にとっては、国民的ゴルフ漫画『あした天気になあれ』を生み出してくださった“大恩人”でもあります。
■ゴルファーの心に刻まれた「チャー・シュー・メーン」の魔法
1981年から連載が始まった『あした天気になあれ』。荒削りながらまっすぐにゴルフと向き合う主人公・向太陽(むかい・たいよう)の姿、そしてスイングのリズムをとる呪文「チャー・シュー・メーン」は、ゴルフ界のみならず社会現象となりました。
当時この合言葉を真似て練習場でボールを打ったジュニアやゴルファーは数知れず、現在も多くのプレーヤーの心に、向太陽のひたむきな姿が焼き付いています。ゴルフというスポーツの奥深さ、厳しさ、そして何より“楽しさ”を、ちば先生は誰よりも温かい眼差しで描き出してくださいました。
■27年ぶりの復活『新 あした天気になあれ』――編集部が見た先生の情熱
弊誌『アルバトロス・ビュー』にとっても、ちば先生とのご縁は特別なものでした。2018年、前作の完結から27年の時を経てスタートした続編『新 あした天気になあれ』の連載では、原作者であるちば先生に深く携わっていただきました。
当時のインタビューや打ち合わせで編集部がお話を伺った際、強く印象に残ったのは、ちば先生の底知れない“ゴルフ愛”と少年のような探求心でした。
ご自身のブログやエッセイでも度々コースへ足を運ばれる様子を綴られていたちば先生。自他共に認める大のゴルフ好き・ギア好きとしても知られ、仕事場に数々のクラブを大切に揃えられていたエピソードは、ファンの間でも広く知られています。
弊誌のインタビューでお話を伺った際も、ゴルフの話題になると少年のように目を輝かせ、道具やスイングの奥深さを楽しそうに語ってくださる姿が非常に印象的でした。自らクラブを振り、ボールの行方に一喜一憂する――先生ご自身が誰よりも熱狂的なゴルファーであったからこそ、あの生き生きとした人間味あふれるキャラクターとドラマが生まれたのだと、あらためて胸を打たれます。
また、連載にあたって「今の読者、今のゴルファーが読んで本当にワクワクするものにしたい」と、常に優しく、時に熱くアドバイスを授けてくださった先生のお人柄は、私たちスタッフにとっても生涯忘れられない宝物です。
■感謝を込めて
病気と闘いながらも、近年まで『ひねもすのたり日記』をはじめ現役として筆を執り続け、文化勲章を受章されるなど、生涯を通じて漫画文化と表現の発展に尽力されたちば先生。
ゴルフの魅力を教えてくださり、コースへ向かうワクワク感をくださり、そして何より、たくさんの温かい言葉と笑顔を届けてくださったことに、編集部一同、心より深く感謝申し上げます。
天国のコースでも、きっとお気に入りのクラブを手に、あの優しい笑顔で気持ちよくスイングされていることを願ってやみません。
ちばてつや先生、長い間、本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。