あれ? 石川遼の『SFOプロト』と形が違う!
詳細について聞くも、「まだ持ってきたばかりですし、詳細はちょっと……。写真を撮るのと、プロが打った感想を聞くならいいですけど、商品の詳しいことについてはまだ喋れません」と、つれない返事…。ただし、『オデッセイ トゥーロン』という新ブランドであることは明言してくれた。
このパター、石川遼が先日『オデッセイ トゥーロン SFO PROTO』というL字マレットをテストしており、「トゥーロン親子と去年の頭から一緒に作っています」と明かしていたのは既報のとおり。ただし、今回持ち込まれたものは、形状がクランクネックのブレード型。いわゆるピン型、アンサー型と呼ばれるもので、石川遼の『SFOプロト』とは仕上げも形状も別物だった。
一つひとつの面と線がくっきりしており、精密に構えられる感じが画像から伝わるだろうか。(肉眼ではすっごくシャープに見えます!)ここまでバッキバキにシャープなものは、筆者はオデッセイでもスコッティ・キャメロンでも、PINGでも、数多のツアー供給品の中でも見たことがないレベル……。(何しろ、比較した『オーワークスツアー』もかなりシャープな方なので…)
石川遼は先週「インサートタイプのエースは経年劣化と破損が心配。替えがなくなったら困るから、今から削り出しのエース候補を探しておかないと」と語っていたが、どうやら『オデッセイ トゥーロン』は最高精度の削り出しパターと断定して間違いなさそう。(これ、量産しづらそうだなぁ…)
オデッセイといえば、「ホワイトホット・インサート」や「マイクロヒンジ・インサート」など、樹脂インサートで世界中のゴルファーから愛されている。こんなことは、今さら言うまでもない。男子ツアーでもご多分に漏れず、「ホワイトホット」育ちのプロが約7割近い。そのため、こういったスコッティ・キャメロンが強い分野である【削り出しパター】に対して、プロはどんな反応を示すのだろうか?
武藤俊憲「この形は好き」、B・ジョーンズ「打感がいいね!」
次にテストしたのは、ブレンダン・ジョーンズ。クランクネックのブレード型ユーザーだが、『トゥアップ』と同じ長めのネックのタイプを使用する。転がすなり、自分のエースパターとの開閉度の違いについて気がついた。
「自分のエースパターの方が、開閉が少なく、ストレート軌道に出せる気がするね。このパターはフォローで少しインに抜けてしまう感じ。いろいろ惜しい。ネックがボクのものと同じタイプなら完璧だよ。打感もソリッドな音でも柔らかくて好きだけど、ネックの形が惜しい!」(ブレンダン・ジョーンズ)
重永亜斗夢 「めっちゃ高級感があるし、打感も柔らかい」
「まず、打感がいいです。柔らかい。見た目的にもオデッセイには珍しく(笑)めっちゃ高級感がありますよね、言葉は悪いですけど。このパキッとした見た目のシャープさ、何にせよカッコいいですよね。ボクは中学3年生くらいからずっとオデッセイのパターを使ってきましたが、ホワイトホットとか、何かしらのフェースにインサートが埋め込まれたものしか使ったことがないので、こういう削り出しのノンインサートタイプは初めてですね。新しいですよね、何か。
打感もノンインサートなのに、オデッセイのインサート入りのものに近いくらい柔らかいですよ。打感というか、球離れが速いんですけど、柔らかくて転がり過ぎない感じ。ボクが使ってきたオデッセイのものは全部インサート入りのものだったので、感覚的に新しいです。ボクは今のマレット型とピン型を調子に応じて入れ替える形で使ってきたので、アリですね。カッコよくてオリジナル感もあるし。今使うマレットの調子が崩れたらすぐにでも移行しますよ。
やっぱり、距離感ですかね。ボク、ずっとバックスイングの大きさで距離感を合わせてきたんですが、それだとインパクトで緩んじゃうことに気づいたんですよ。それで片山晋呉さんに先日教わったフォローで押すイメージに変えて良くなったんですが、これってタッチが強くなるんです。短いパットはいいんですけど、距離が長いロングパットだと、ちょっと感覚が合わないことがあって、こういう削り出しのパターの方が感覚的に長い距離も短い距離も距離感が出しやすい感じがしますね。
しっかり打てるし、そんなにボールが飛ばないという。いや、言い換えると、打った分だけちゃんと飛んでくれるパター。オデッセイの樹脂インサートって、すごく転がりがいいので、ちょっと弱いかな?と思ったやつがスーッと転がり過ぎちゃうこともたま〜にあるんです。そういうのがなく、打った距離だけ転がる感じ」(重永亜斗夢)
深堀圭一郎 「音と打感から、出球のスピードコントロールがしやすくなる」
「今のマレット型は直進性が高くて振り幅と方向性を出しやすいので使っていますが、試合によってグリーンのコンディションが違うので、やっぱり転がりすぎてしまうこともあるんです。『オデッセイ トゥーロン』みたいなパターは、その点、自分の感覚とフィーリングにボールスピードが一致しやすいですよね。打感も柔らかいですし。
何というか、グリーンのコンディションによってはすごくスピードコントロールがしやすいイメージですよね。例えば、来週のABCゴルフ倶楽部の超高速グリーンとか、絶対にいいと思う。構えたときの形状もいいですし、練習ラウンドのまだ9ホールしか使ってないんですが、音がすごい良かった。音と、振りと、球の転がるスピードが合うというか、距離感がすごく安定していました」(深堀圭一郎)
筆者もプロも、その見た目に無言で見入ってしまった…
ツアーでもベテランの選手たちが、思わず無言で見入ってしまうほど、バッキバキの超シャープ顔と、繊細で「打った分だけ転がる」性能。タッチを出しやすく、フィーリング重視派プロに明らかに合いそうな『オデッセイ トゥーロン』。オデッセイのこれまでの歴史からすれば、明らかに異質な新ブランドだが、はたしてどれだけのプロに受け入れられるのだろうか。
ちなみに、オデッセイのインサート入りパターは、男子ツアーでは実に10年以上の長きに渡り、65%近い使用率を維持している…。まさか、残りの35%を『オデッセイ トゥーロン』で取りに行くつもりなのだろうか。だとするならば、これまで見たことがないレベルのバッキバキさも頷ける気がする…。
Text/Mikiro Nagaoka