『G430 アイアン』は、バッグビュー（キャディバッグに入っている状態での見た目）で目立つのは、ソールの厚みです。しっかりと厚さがあり、よく見ると、その形状に色々と工夫が見えます。

そして、アドレスビューで驚くのは、フェースに番手の刻印があることです。今までも、そういうクラブがなかったわけではありませんが、お久しぶりという感じで、懐かしさを感じさせました。

ヘッドの大きさもとても好感を持ちました。ちょうど良い大きさで、癖がないのが良いです。

『G430 アイアン』は、右に押し出すことで悩んでいるゴルファーにオススメです。ボールをとらえる挙動が、ミスを防いでくれるはずです。

ちょっと注意したいのは、ミスヒットしたときに飛距離がグッと落ちることです。真芯に当たった飛距離と、少し外したときの距離差は半番手ぐらいです。

確実に芯に当て続けることが出来れば、縦距離を合わせやすいアイアンに仕上がっています。縦距離の敏感さが、先程の注意点という副産物を生んだのだと思います。

『G430 アイアン』は、スコアアップしやすいアイアンです。楽に打てて、飛距離も出ます。バランスが良いのです。スコアアップしたいゴルファーで、飛び系アイアンを使いたいというゴルファーにも、『G430 アイアン』はオススメします。

実際に『G430 アイアン』をテストすると、これは良い、という評価と、これはダメ、という評価が、両極端に出ると思われます。シャートアイアンは、違和感なく打てると思いますが、ミドルアイアンからロングアイアンにかけて、クラブの長さが通常よりも長くなるからです。

僕は長さがあるクラブを打つのが好きで、得意なので、違和感は感じても、ダメとは思いませんでしたが、長いクラブが苦手なゴルファーにとっては、どう打っても当たらない、ということになりそうです。

『G430 アイアン』は、潔いクラブです。わかるゴルファーだけがわかれば良い、という頑固なメッセージを感じました。ピンゴルフは、アイアンだけのラインアップが複数あります。もっとやさしいアイアンであれば、別のブランドを使えるということなのだと思います。

『G430 アイアン』は、11本セットですが、1本ずつから購入が可能です。自分だけのセットを作ることが出来ますし、ロングアイアンは距離が出るアイアンですので、ユーティリティ感覚で1本買いもアリだと思います。

今回、試打しながら、不思議な感覚がありました。ショートアイアンは、ピンに向かって、ガンガン行けるのですが、ミドルアイアンになると、自分の狙いも大人しく控え目になるのです。アイアンに諭されているというか、強く影響されていることを意識しました。こういう経験は稀です。ゴルフ歴40数年で、数えるほどしかありません。

『G430 アイアン』は、そんなふうに使い手と信頼し合うことで、最高の機能を発揮するアイアンなのだと思ったのでした。

『G430 アイアン』

ヘッド素材　　　ハイパー17-4スチールステンレス
ロフト　　　　　#4/19度、#5/22度、#6/25.5度、#7/29度、#8/33度、#9/37度、PW/41度、45/45度、50/50度、54/54度、58/58度
シャフト　　　　N.S.PRO 850GH neo（S）

ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学１年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員