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ボール契約フリーの金田久美子が『TOUR B XS』ボールで11年ぶりの勝利

11年189日ぶりの優勝を果たした金田久美子。ギアに無頓着な天才少女だった金田が、契約フリーで自分に合ったギアを選ぶ大人のツアープロとして挙げた、ツアー2勝目だった。<br><br>text by Kazuhiro Koyama

配信日時:2022年11月4日 16時00分

契約フリーで選んだボールは『TOUR B XS』

金田久美子の優勝セッティング。ウッドだけで3社のクラブを使用

金田久美子の優勝セッティング。ウッドだけで3社のクラブを使用

しかし、今季は「アースモンダミンカップ」で最終日最終組の末、7位タイとなるなど徐々にではあるが結果が出てきていた。スイング改造やトレーニングの取り組みが実を結びはじめていたのだ。

ギアも契約フリーで複数メーカーのモデルを積極的に試している。アイアンはテーラーメイドの飛び系モデルを7番から入れており、その上はスリクソンのUTをチョイス。クラブの恩恵を上手く利用して、ボールの高さや飛距離を補う意図が見えるセッティングだ。

金田はもともと、ギアへのこだわりがほとんどなかった選手だ。初優勝した時の使用ボールは、当時の契約メーカーがラインナップしていたディスタンス系だった。当時、多用していたランが多めの巧みなアプローチは、ディスタンス系ボールによって生まれていたのだ。

プロはスピン系を使うものと相場が決まっている。ディスタンス系を使用して優勝した例は、今世紀に入ってからはおそらく無いのではないか。この無頓着ぶりは、まさに天才らしいエピソードだと言えるだろう。

初優勝後、当時のコーチである石井忍プロからスピン系ボールへの変更を提案され、以降は軟らかい打感のボールを好んで愛用するようになった。そして、2019年の春からは一貫してブリヂストンの『TOUR B XS』を使用している。
ボールはタイガーが使うブリヂストンの『TOUR B XS』。強いスピン性能に定評がある

ボールはタイガーが使うブリヂストンの『TOUR B XS』。強いスピン性能に定評がある

ボール契約もフリーの金田は複数のボールを試し、最終的に『TOUR B XS』に決定したという。ベテランの域に達しても、アプローチの上手さでスコアメイクしていくプレースタイルは健在で、『XS』はショートゲームでの打感と強いスピン性能が気に入っているようだ。

金田は優勝した週に新しいオウンネームボールに変更している。金色で大きく「93」と入れて、“キンクミ”と読むらしい。使い始めてから即優勝と、縁起の良いオウンネームとなった。
これが幸運のオウンネーム。「93」は既存のフォントを使ったものではなく、金田本人希望のイメージに沿って描き起こされたオリジナル。数字の後の「.」に特に意味は無いそうだ

これが幸運のオウンネーム。「93」は既存のフォントを使ったものではなく、金田本人希望のイメージに沿って描き起こされたオリジナル。数字の後の「.」に特に意味は無いそうだ

ちなみに最終日に最後まで優勝を争った川崎(*)春花も『TOUR B』。同組の川岸史果も『TOUR B』ユーザーで、最終組は3人がBSのボールを愛用していた。川崎と川岸は、よりしっかりした打感の『X』を使用している。(*崎はたつざき)

今年の2月、金田は「TWGT(Thanks Women's Golf Tour)」という、プロを目指す若手女子選手を対象とした試合に出場している。あれだけのキャリアのある選手が、こうした試合に参加した事自体が珍しいのだが、金田はこの試合でパッティングに苦しみ、あまり好ましい成績を上げることが出来なかった。
これが最後まで居残り練習を続けた時の様子(写真は筆者提供)

これが最後まで居残り練習を続けた時の様子(写真は筆者提供)

試合後、多くの選手が帰路につく中、金田は最後まで黙々とパッティング練習を行っていた。それは誰も練習しなくなってからも続き、練習グリーンでただひとり日没までパッティングを続けていた。11年ぶりの優勝は、そんな猛練習を長く続けてきたことなしには、決して成し遂げられなかっただろう。

眩しいほどの才能を持ち、感覚のままプレーしてした初優勝の時代。
そこから長い月日を経て、猛練習を積み、自分にあったギアを選んで、ボールコントロールを重視するスタイルに磨きをかけた。いわば、大人のゴルファーとして生まれ変わった金田が挙げた、ゴルフ史に残る勝利だった。
11年ぶりの笑顔(撮影・GettyImages)

11年ぶりの笑顔(撮影・GettyImages)

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