佐久間綾女(姉)、夏美(妹)はどっちを選ぶ?
そして、『スピーダーNX』と言えば、昨秋の登場以来、女子プロの人気ナンバーワンとなり、アマチュアにも大人気。姉・綾女は、使用感について「去年『NX』を試していきなり、少し初速が上がって右のミスが出なくなった。かといって左に大きく曲がる球も出ず、打ち出しが高くなってキャリーが伸びたんです」と話す。
姉はキャロウェイ『ローグST◆◆◆LS』でドローヒッター、妹はテーラーメイド『SIM MAX』でフェードヒッターと、真逆なスイングタイプの2人だが、新作『NX GREEN』をどう評価するのか? その前に『NX GREEN』に精通する鹿又芳典が新作の説明を2人にする。
「新作のVTCは、とにかくスピードUPできます」
そして、今回の『NX GREEN』はその『NX』をベースに開発されていています。簡単に言うと、【VTC】をアップデートして『スピードアップ』がテーマ。(笑)細かい話ですが、手元のネジレ剛性を上げると、切り返しでタメをキープした状態でスムーズに下ろせる上、インパクト付近のしなり量が大きくなって鋭く戻るのが特徴です。
しかも、先端剛性が上がって強い球が打ちやすいのに、走るフィールと押せる要素が同居して、打ち手にはしなり量の大きさを感じることなく、勝手に速く振れちゃうのが不思議です。これも3D動作解析【enso】を使った3次元設計の成果だと思いますよ」(鹿又)
男女ツアーで『NX GREEN』の人気上昇
また、国内女子ツアー第20戦から投入された『NX GREEN』は、わずか1 ヶ月後の第25戦で『NX』の使用者を上回った。現在の面々は、永峰咲希、吉田優利、西村優菜、鶴岡果恋、大出瑞月、上野菜々子、脇元華ら常時17〜18人もの大軍団になっており、15〜16人前後の『NX』と人気を2分する。
まずは、『NX』を愛用するドローヒッターの姉・綾女から『NX GREEN』の試打を勧める鹿又だが、結果はどうなるだろうか?
姉の綾女「意外にシンプルな動き。インパクト前で一気に復元する」
初速が60.7m/sを記録したライナーフェードはキャリー216.2ヤード、ランを稼いだ球はトータル250.1ヤード。綾女自身「前の『NX』よりもしなるポイントが『NX GREEN』はインパクトに近づいて、バーンと一気に復元するので初速が上がります。つかまりも穏やかで強い球になりますね」と笑顔いっぱい。
鹿又は「NXがベースの新作だから綾女プロはスムーズに移行できて、初速が2.3m/sもアップしましたね。スピン量が強烈に減ったライナーで、ランの出方も凄いことになってます!」と驚いていた。次は、問題の「超軽量でしなりも多め派」のフェードヒッター妹・夏美である。
まさかの姉妹で『NX GREEN』!
初球から「重くなったのに普通に振りやすいですね」と話す夏美が慣れてきた4球目、ヘッドスピードが38.6から39.5に上がり、ボールスピードも56.7から59.2m/sにアップした球は、キャリー218.1ヤード、トータル241.1ヤードを記録。夏美は「初めて打つ時の印象って大事ですけど、全く違和感なく振れたし距離が伸びて凄く嬉しい!」と大喜び。
鹿又も「シャフトって、しならせたものがインパクトでちょうど一直線に戻ると距離が出ますよね。どちらのシャフトもその状態を自然に作りやすいですが、『NX』よりしなりが大きいのに、それを打ち手に感じさせず、インパクト直前で素早く戻る『NX GREEN』の方がスピードを上げやすい」と解説。
異なるシャフト遍歴の姉妹が、まさかの『NXグリーン』。女子プロ人気1位の『NX』から大量移行する理由は「もっと、スピードを!」の一言に尽きそうだ。
取材協力・横浜カントリークラブ
撮影・山代厚男