ALBA Net  ゴルフ
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直足BOAラップから生まれたアディダス『コードカオス 22 BOA』の凄み

初代は “必然変異。”、今回は “秩序破壊。” インパクトのあるキャッチコピーそのままに、『コードカオス』が発表する革新的なゴルフシューズ。そこでBOAフィットシステムが果たす役割は大きい。

配信日時:2022年9月7日 10時00分

アッパーからでなく、テーピングのように直足で締める

『コードカオス 22 BOA』の ゛直足BOAラップ“ には合理的かつ緻密な工夫がこらされている。ベースとなるのはBOAが提唱するパフォームフィットラップ構造。足を内甲側から包み込むようにおおうパネルとBOAフィットシステムが連動した構造だ。この構造は、BOAの米国本社にあるパフォーマンスフィットラボの生体力学研究によって、アスリートのパフォーマンス向上が科学的に実証された構造となる。
BOA本社のパフォーマンスフィットラボではフィットとパフォーマンスの関係を科学的に検証している

BOA本社のパフォーマンスフィットラボではフィットとパフォーマンスの関係を科学的に検証している

この研究をベースに各社がシューズの開発に落とし込んでいる。実際、アディダスのこれまでのシューズ(ZG21、TOUR360 22など)にはこの構造自体がアッパーの表面に置かれていて、アッパーの上から締まる構造となっていた。
アッパーの下に隠れた “直足BOAラップ“

アッパーの下に隠れた “直足BOAラップ“

そのため、横にブレないように硬く作られたアッパー、さらにその上からレースで締めることで安定感は増すのだが、当然ながら、シューズのラスト(木型)に合わせて締まっていくことになる。もしも自分の足がラストと合っていなければ、BOAフィットシステムによって均一の圧力で締められていくとはいえ、どうしても微妙に緩かったり、締まりすぎたりを感じてしまう部分がでてしまうことがある。それを解消してくれたのが、ラストに左右されなくなった ‟直足BOAラップ“。BOAフィットシステムはアッパーの外側ではなく、内側に配置されている。上の画像のように、アッパーのファスナーを下げると、タンの部分にラップが現れ、レースで締まる構造がわかる。

「一番感じるのは、スイングしたときに足がちゃんとついてくる感覚です。これまでの『コードカオス』にも密着感はあったのですが、スイングをしている途中で、瞬間、タイムラグがあって、わずかにあとから足がついてくる感触が気になっていました。ボクは重いシューズで足を安定させて、ハンドアクションで打つのではなく、凄く足をつかっていくタイプなので、足にシューズがきちんとついてきてくれることはとても重要なポイントです。『コードカオス 22 BOA』をはいてみて、こんなに改良されるんだと驚きました」
足の動きに遅れることなくついてくる感覚が吉田さんの力強いショットを生む

足の動きに遅れることなくついてくる感覚が吉田さんの力強いショットを生む

エキスパートである吉田さんの繊細な感触に応えてくれたのは、まさに “直足BOAラップ“ のなのだが、BOAフィットシステムを内側に配置させただけでなく、それに合わせてラップや締め方にも改良が施されている。ラップのレースを支える部分を、3つに分離した形状とすることで、足の形や高さ、広さ、足のむくみまでとらえて、あたかもテーピングをしているかのように足が包み込まれる。さらにレースが一方はツマ先寄りに直行、一方をはき口寄りからラップを経て通されている。2か所からアクセスすることでより均等に締まりやすくなり、しかも3つにセパレートしたラップの緩い部分から先に締まっていく。こうして個々の足にカスタマイズされた、忠実な3D感覚のフィットこそ、足がついてくると吉田さんが感じた理由だ。
左がこれまで、右が “直足BOAラップ“ のレースの通し方。ともに左サイドがツマ先となる

左がこれまで、右が “直足BOAラップ“ のレースの通し方。ともに左サイドがツマ先となる

「歩きやすいゴルフシューズはずっと歩きやすいだけで、スイングするときに横にブレてしまう。でも『コードカオス 22 BOA』は歩きやすくて、さらにスイング中も横方向にずれることなく、しっかりと回転できる。これはツアーでも普通にはけるクオリティですよ」と話す吉田さんは、さらに興味深い話をしてくれた。

このシューズをはいたことでヘッドスピードがアップ

「これまで、スパイクのように地面と刺すことでグリップ力を生む「スパイクモア」のアディダス『TOUR360 22』が、自分にとってはベストでした。ある意味、ゴルフシューズの終着点かなと思うくらい、歩きやすく、しっかりと振れました。でも『コードカオス 22 BOA』はそれを簡単に超えていきましたね。『TOUR 360』をはいているときより、『コードカオス 22 BOA』をはいたときのほうが、明らかにヘッドスピードが上がるんです。はいたことでヘッドスピードが上がったゴルフシューズというのははじめての経験ですね。“直足BOAラップ“ の抜群のフィット感がもたらす凄い安定感のおかげだと思います」
ファスナーの上げ下げで性能を使い分ける

ファスナーの上げ下げで性能を使い分ける

こうした独特の “直足BOAラップ“ はもうひとつメリットを『コードカオス 22 BOA』にもたらしている。それがアッパーについたファスナーだ。アッパーに用いられる「ワープニット」は、ニットアッパーならではの通気性や軽さを残しながら、伸びだけを抑えるという技術を取り入れた。加えて表面にPUフィルムを貼ることで安定感を格段に向上させている。振れば振るほど性能を発揮するパワーシューズのような特徴と、ニットアッパーらしいソフトで、快適なはき心地を同時に味わえる。

しかも、すでに内側の “直足BOAラップ“ によって、足はしっかりとホールドされているわけだ。だからこそファスナーの開閉が意味をもってくる。ファスナーを上げると、ワープニットの硬度がよりダイレクトに反映されて、ここ一番で振りにいくときでも、十分に応えてくれる安定感が得られる。一方、ファスナーを下げれば、ラウンド後半で足に疲れを感じたとき、歩きやすさを実感したり、朝イチバンでまだ足がまだ動きにくいときには、足の動きを促してくれる効果もある。ファスナーの上げ下げによって、性能の切り替えが可能で、1足なのに2タイプのシューズをはいているかのような性能を体感できる。
AIGオープンでの渋野もファスナーを上げ下げしていた。パター練習中はファスナーが下がっている

AIGオープンでの渋野もファスナーを上げ下げしていた。パター練習中はファスナーが下がっている

冒頭の渋野日向子の話だけではなく、ツアープロたちも『コードカオス 22 BOA』を注目しているようだ。吉田さんはこう話す。

「今、ボクがクラブを作らせてもらっている女子プロがいます。最近、アディダスとシューズの契約をして、『コードカオス 22 BOA』をはくようになりました。彼女は振ったときの安定感、足入れ感などが、これまでのシューズとはまったく変わったと言っていました。歩いていても楽で、彼女は腰痛もちなのですが、腰痛が出にくくなったと凄く気に入っています。ほかのプロからも『コードカオス 22 BOA』の性能を聞かれることがよくあります。そんなときは、まず1回はいてみるべきだと答えています」

最後に吉田さんにどんなゴルファーに、この『コードカオス 22 BOA』をおすすめしたいかを聞いてみた。

「面で支えるというこのシューズの特性を、“直足BOAラップ“ が十二分に引き出してくれる。だからさっきも話しましたが、足をつかってスイングするゴルファーであれば、グリップ力が高まっていることがわかるはずです。そうなれば当然、飛距離が伸びる可能性が出てきますよね。あとシューズの中で、足が遊んでしまいがちなゴルファーにもおすすめです。ボクも足が細いこともあって気になっていました。ですが『コードカオス 22 BOA』に出会ったことで、こうした不安がなくなり、しっかりと地面を踏めて、回転が逃げない密着感を知りました。もちろん靴ずれもしなくなりました」

かつては脱ぎはきが簡単といった部分が注目されていたBOAフィットシステム。だが今日、スタビリティやトラクション、パワー伝達といったシューズが備える性能を最大限に引き出すための、科学的なフィットソリューションを目指している。そうしたフィット感をより効果的に生かしながら、ゴルファーのパフォーマンスを上げるため、シューズメーカーが知恵を絞りながら、ゴルフシューズは進化を続けている。『コードカオス 22 BOA』はそれをカタチにした1足だ。

BOAフィットシステムのテクノロジーを詳しく知りたい方はこちら
吉田智/1980年生まれ。学生時代は野球で活躍するものの、ケガのため、幼少期から親しんできたゴルフの世界へ。ゴルフ場研修生、ゴルフメーカー勤務などを経て、現在、「プレミアム ゴルフ スタジオ」でフィッターを務める。カリスマフィッターとして多くのゴルフメディアに出演。また的確な分析力と類まれなセンスはトッププロたちからの信頼も厚い。これまでに女子ツアー5勝、ステップアップツアー2勝、シニア1勝の実績をもつ。

撮影/山上 忠、福田文平(AIG女子オープン)

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