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大切なのは「打ち出し高さ」と「スピン量」! 自分史上最高“エースボール”の見つけ方

ゴルフにおいて、クラブ以上に大切なギアが“ボール”だ。ドライバーの飛距離も、アプローチの寄せも、どのボールを選ぶかで結果が大きく変わってくる。では、自分に合った最高の“エースボール”を見つけるには、何を基準に選ぶべきなのだろう?

配信日時:2022年1月21日 16時00分

今回はテーラーメイドのボール4機種を徹底分析。それぞれの個性が分かると、自分に合ったモデルの選び方が見えてくる。※2022年6月より『ソフトレスポンス』のパッケージがリニューアルされます。
今回はテーラーメイドのボール4機種を徹底分析。それぞれの個性が分かると、自分に合ったモデルの選び方が見えてくる。※2022年6月より『ソフトレスポンス』のパッケージがリニューアルされます。

“苦手”はボールでカバーするのが一番カンタン

 ボールを選ぶ際の大前提として、ショットでも、アプローチでも、自分の苦手とする部分をカバーしてもらうことが大切だ。例えば、スピン量が多くて吹け上がる人ならスピンの減るボールを使えば飛距離アップが望めるし、スライサーがつかまるボールを選ぶのも有効だろう。

 もし、こういった苦手な部分をスイングでカバーしようと思えば、途方もない時間と練習が必要になるし、必ず成功するとも限らない。スイングを修正しようとした結果、不調に陥る可能性さえあるのだ。そう考えると、ギアに頼って直せるものなら、頼ってしまうのが得策なのは間違いないだろう。
写真左が、飛距離アップレッスンが話題のコーチ、服部公翼プロ。写真右が繊細かつ丁寧なレッスンが人気の市川里菜プロ

写真左が、飛距離アップレッスンが話題のコーチ、服部公翼プロ。写真右が繊細かつ丁寧なレッスンが人気の市川里菜プロ

 では、何を基準にすれば、自分に合ったエースボールを見つけることができるのか?

 おすすめなのは、ボールによって変わる「打ち出し高さ」と「スピン量」を基にモデルを選ぶことだ。今回、HS48m/sの服部公翼プロとHS42m/sの市川里菜プロに、テーラーメイドのボール4機種をドライバー、7番アイアン、サンドウェッジ(30ヤード)で打ってもらい、弾道データを計測。それぞれ5球ずつ打ち、明らかなミスを除く3球の平均値からモデルごとの「打ち出し高さ」と「スピン量」を算出した。

 尚、計測には、高速カメラを利用して正確なデータを導き出す『GCクワッド』を使用。インパクト直後のボールの飛び方からデータを算出する機器のため、モデルやクラブによる弾道の違いを比較するのに最適な機器となっている。

ショットは打ち出し高さとスピンが最適になるモデルを選ぶ

本来、ドライバーと7番アイアンでは打ち出し高さとスピン量の数値が大きく異なるが、モデルごとの比較がしやすくなるよう座標の位置を調整している

本来、ドライバーと7番アイアンでは打ち出し高さとスピン量の数値が大きく異なるが、モデルごとの比較がしやすくなるよう座標の位置を調整している

 テーラーメイドのボール4機種のショット時における性能を比較していくと、クラブに関係なく似た球質になるものと、クラブによって球質が変化するものがあることが分かる。最新ボールの中には、番手ごとに性能が最適化されるよう構造や素材を工夫しているものもあるので、ドライバーとアイアン両方の性質をチェックすることが大切だ。
頭が突っ込んだり、右肩が被ったりするタイプのゴルファーには、低スピンタイプのボールが合うと服部プロ

頭が突っ込んだり、右肩が被ったりするタイプのゴルファーには、低スピンタイプのボールが合うと服部プロ

 ボールの選び方について服部プロは、「アマチュアゴルファーの多くは、スライスで飛距離をロスしていることがほとんど。スイングで言うと頭が左サイドに突っ込んだり、右肩が被ったりして、極端に上からヘッドを入るのでスピンが増えてしまうのです。高打ち出し・低スピンになる『ソフトレスポンス』やつかまりの良さがある『ツアーレスポンス』にボールを変えるだけでも、かなり改善されるはずです」と解説してくれた。

 ショットについては、「打ち出し高さ」と「スピン量」の他に、「つかまり」もモデルによって変化する。右に曲がるミスが多ければ『ソフトレスポンス』や『ツアーレスポンス』、逆に引っかけが悩みならば、『TP5』や『TP5X』を選ぶと方向性が良くなるはずだ。

アプローチでショートするなら高打ち出しボールがいい

ショットに比べてアプローチは、打ち出し高さとスピン量の関係性が分かりやすい

ショットに比べてアプローチは、打ち出し高さとスピン量の関係性が分かりやすい

 30ヤードのアプローチでは、ボール表面のカバーが性能に大きく影響する。アイオノマーカバーの『ソフトレスポンス』は、球離れが早く、高い打ち出しでスピンが少なくなる。しっかりランが伸びてくれるので、アプローチでショートしがちな人が距離感を合わせやすくなるだろう。
手首を使わず、シンプルに体の回転で打つアプローチには高打ち出しボールがピッタリ

手首を使わず、シンプルに体の回転で打つアプローチには高打ち出しボールがピッタリ

 一方で、ウレタンカバー系の残り3機種は、フェースの食いつきが良く打ち出しが低いボールほど、スピンが増える傾向にある。『TP5』は打感もソフトで、フェースに乗る感覚が強く、低く打ち出してスピンをかけたりと、自在に球筋を打ち分けることができる。

 アプローチへのこだわりが強い市川プロは、「打ち方のイメージと合ったボールを選ぶことが大切です。スピン量の違うボールを使うことで距離感の微調整もできますので、ショット以上にこだわって欲しいポイントです」と話す。

 同じスピンがかかるツアーボールでも、『TP5』に比べて『TP5X』の方が直進性が高くてラインを出すイメージが湧くなど、微妙な違いがある。打感などの好みと合わせて選んでいくとアプローチが楽になるだろう。

イメージ通りの球が打てる抜群の操作性を備えた『TP5』

ツアープロの使用者も多い人気モデル。どのクラブでも安定してスピンがかかり、球筋を自在にコントロールできる

ツアープロの使用者も多い人気モデル。どのクラブでも安定してスピンがかかり、球筋を自在にコントロールできる

●ドライバーデータ
打ち出し高さ「14.5度」 スピン量「2,230rpm」
●7番アイアンデータ
打ち出し高さ「19.9度」 スピン量「5,023rpm」
●サンドウェッジデータ
打ち出し高さ「28.2度」 スピン量「5,578rpm」


 クラブに関係なく、安定したスピンがかかることが特徴のツアーボール。球筋をコントロールしたり、アプローチで技を使いたい上級者にとっては最適なモデルとなっている。

服部プロは、「打感が非常にソフトで、フェースに乗る感覚は一番強いです。打ち出しは低めですが、スピンが入るので、しっかり止まる球が打てます」とショット面での性能を評価する。

一方で、アプローチ面での良さを強調するのが、市川プロだ。 「アプローチの使い勝手がとにかく良いです。スピンをかけるも、抑えるもイメージ通りで技を生かせるボールです」。実際、サンドウェッジのテストでは、他のモデルに比べて500rpm以上多いスピン量を記録しており、低く打ち出してキュッと止めるアプローチを打ちたいなら『TP5』一択だ。

クラブごとに最適な球質になって大きく飛ばせる『TP5X』

あらゆる番手で直進性の高いボールが打てることが特徴的だった『TP5X』

あらゆる番手で直進性の高いボールが打てることが特徴的だった『TP5X』

●ドライバーデータ
打ち出し高さ「15.5度」 スピン量「2,022rpm」
●7番アイアンデータ
打ち出し高さ「19.2度」 スピン量「4,849rpm」
●サンドウェッジデータ
打ち出し高さ「30.2度」 スピン量「5,057rpm」


 米国男子ツアーでの使用率も高い『TP5X』。総合的な性能バランスの良さがありつつ、あらゆるクラブでスピンが少なく抑えられて、直進性の高いボールが打てることが最大の特徴だ。

 『TP5X』をテストしたプロ2名とも同じ意見で、「どのクラブでも強い球になって、吹け上がることなく飛んでくれます。ヘッドスピードが速い人ほど、恩恵を受けられるボールです」(服部)、「低スピンな分、曲がりが少なく方向性が出しやすいです。ショットも、アプローチも直線的に狙いたい人にピッタリです」(市川)とインプレッションを話していた。

 面白いのは、低スピンによる直進性の高さは全番手共通だが、打ち出し高さに違いがあること。ドライバーは打ち出しを高くすることで安定したキャリーを、アイアンはやや中弾道で風に負けないボールが打ちやすくなっている。

 飛ばしにこだわる人や曲がりを抑えてラインを出したいゴルファーに特におすすめのモデルとなっている。

オートマ感と操作性のバランスが秀逸な『ツアーレスポンス』

3ピース構造でウレタンカバーが採用された『ツアーレスポンス』。万人受けする性能バランスの良さが備わっている

3ピース構造でウレタンカバーが採用された『ツアーレスポンス』。万人受けする性能バランスの良さが備わっている

●ドライバーデータ
打ち出し高さ「14.7度」 スピン量「2,169rpm」
●7番アイアンデータ
打ち出し高さ「20.2度」 スピン量「4,584rpm」
●サンドウェッジデータ
打ち出し高さ「30.7度」 スピン量「4,965rpm」


 ツアーボールと同じウレタンカバーが採用されつつ、コアを柔らかく設計することでアマチュアゴルファーでも性能を発揮しやすくなった『ツアーレスポンス』。安定したショットが打てるオートマ感とスピン性能のバランスが抜群で、隙のないボールに仕上がっている。

 服部プロは、HSが遅めのプレーヤーは『ツアーレスポンス』の方が、打感や弾道が良くなる傾向があると話す。「コアがソフトな分、インパクトでつぶれる感覚が強くなります。安定してつかまったボールが打てますが、球筋を打ち分ける適度な操作性も持っています」。

 実際、HS42m/sの市川プロは、『ツアーレスポンス』のフィーリング性能を絶賛する。「自然とぶ厚い当たりになるので、打っていて爽快です。性能バランスの良さはかなりハイレベル」とコメントしていた。

 また、『ツアーレスポンス』はクラブごとにスピン量が変化することも特徴となっている。ドライバーは適正スピンで楽に高さが出て、アイアンは低スピンで距離を稼ぎやすい性能に仕上げられている。

 コアが柔らかいメリットは、インパクトでボールが長くフェースに乗ることによって、つかまりが良くなること。もし、ツアーボールで右へのミスが多い人は、『ツアーレスポンス』を試すと、アプローチスピンなどを維持しつつ、ショットの曲がりを抑えることができるかもしれない。

『ソフトレスポンス』はとにかく低スピンで曲がりが小さい

どのクラブでも、高打ち出し・低スピンという一定した弾道が出る『ソフトレスポンス』。つかまりも良く、スライサーの強い味方だ。※2022年6月から『ソフトレスポンス』のパッケージがリニューアルされます。

どのクラブでも、高打ち出し・低スピンという一定した弾道が出る『ソフトレスポンス』。つかまりも良く、スライサーの強い味方だ。※2022年6月から『ソフトレスポンス』のパッケージがリニューアルされます。

●ドライバーデータ
打ち出し高さ「16.0度」 スピン量「1,879rpm」
●7番アイアンデータ
打ち出し高さ「21.7度」 スピン量「4,042rpm」
●サンドウェッジデータ
打ち出し高さ「31.6度」 スピン量「4,585rpm」



 弾道を補正するという意味では、今回の4機種の中で最も強い性能を持っていたのが『ソフトレスポンス』だ。

どんな打ち方でもスピンが少なく抑えられます。サイドスピンもかかりづらくなるので、曲がりがとにかく小さくなります」(服部)
「非常にソフトなので、インパクトで当たり負けする感覚が全くありません。ヘッドスピードが遅めの人でも安心して使えるボールです」(市川)

 打ち出しが上がらなくてキャリーが出ない、スライサーでスピンが多く飛距離をロスしているなど、 “飛び”に関して悩んでいるなら強い味方になるボールだと言えるだろう。

パターが苦手なら真っすぐ打てるデザインに頼るのもアリ!

写真左のボールが『TP5』シリーズに採用される『PIX』、写真右のボールが『ツアーレスポンス』の新デザイン『ストライプ』

写真左のボールが『TP5』シリーズに採用される『PIX』、写真右のボールが『ツアーレスポンス』の新デザイン『ストライプ』

 ショットやアプローチだけでなく、パターに悩むゴルファーもいるだろう。パターといえば、距離感以上に方向性が結果に大きく影響するため、真っすぐ構えやすいデザインが採用したボールを使うのがおすすめだ。

 テーラーメイドのボールには、『TP5』と『TP5X』に『PIX』、『ツアーレスポンス』に『ストライプ』とそれぞれアライメントの取りやすさを追求したデザインのモデルがラインナップされている。

市川プロも、「パターでは狙った方向にしっかりフェースを向けられるかが大切です。その意味で、太めのラインがイメージできる『PIX』や『ストライプ』といったデザインのボールは非常に有効です。自分のイメージに合うボールなら、パットの成功率が段違いに上がりますよ」とデザインの重要性を語ってくれた。

 ボールの性能に加えて、デザインにまでこだわってモデルを選ぶと、自分史上最高のエースボールを見つけることができるはずだ。

取材協力/PGMゴルフアカデミー銀座 写真/近澤幸司 構成/田辺直喜

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