ヘッドスピード45m/s台で、290ヤード超!?
PCM編集長(以下、P編) 私も驚いたよ。去年の春にコロナの中等症で2週間以上入院して、退院したら40m/sもやっとくらいに筋力が落ちちゃったからね……。命があっただけでも有り難いけど、当初は本当にガッカリした。半年くらい経ってやっと45m/s台に戻ったけど、以前のような50m/s弱には戻れない。でも距離は全盛期と遜色ないでしょ?
P編 『ST-Z 220』が合ってるとしか、言いようがないよね。自分でもこんなにイケるとは思わなかったもん! エッ、こんな程度で300近く行っちゃうんだ……って、不思議だよ。
筆者 実はボールの影響もあるんじゃないか?って、ボクは疑ってるんですけど?
「いや『ST-Z 220』の影響でしょ!」
筆者 たしかに、ミズノだけなんだよなぁ〜、高反発クラブに使われてたβチタンを1Wのフェースに使い続けるのって……。【禁断の素材】との触れ込みでずっと来ましたが、去年ヤマハが『RMX VD』フェアウェイウッドで追随してきたけど、1Wは違いますし……。
薄くすると性質上、すぐ高反発になっちゃうし。今はCOR(反発係数)じゃなく、CT値(接触時間)の上限がルールだから、257μの上限なんて、ちょっと薄いとすぐ高反発になる。そこの所をミズノは上手くやってるよねぇ〜〜。
筆者 “うまく”やってる? なんか、ズルしてるみたいな言い方じゃないですか……。
「真ん中は分厚く、周縁部は薄く!」
筆者 はい。たしか、『コアテックフェース』という構造でしたね。
P編 で、真ん中裏は超分厚いのに、周縁部が薄い。ここがキモ中のキモなの! CT値って、カチーンと金属球のペンデュラムマシーンで測るじゃない。その金属球の接触時間を測るんだけど、薄いと時間が短くなる。だから、分厚くして適合内に収めるわけ。
でも、金属球で測る時のヘッドスピードって全然ないでしょ? 実際にゴルファーが打つ方が速いし、打撃力も増すよね。そして真ん中が分厚い分、そこが重い。で、その周囲は薄い。そこにスピードとボールの重さの打撃が乗っかるとフェースはどうなる?
筆者 !!!!! そっか、真ん中の重い所に打撃が乗ったら、周りの薄い部分がより引っ張られるってことか!!!
P編 そう、地クラブでも似たコンセプトのものがあるけど、ミズノの構造の複雑さには及ばないね。引っ張り強度と壊れにくさの性質が、チタン素材の中でも優れた【βチタン】だからこそ、余計効果を生むのよ。この素材だからこそ、より真ん中裏の重さを活かせる図式だと思うね。
「弾きが良く、重い打感のボールと相性◎!」
P編 だろうね。ミズノは高反発時代から【生チタン】とか、色んなチタン材の研究を進めているし、βチタンになってからも代替わりを重ねて知見が溜まってるんだろうね。他のメーカーが手を出せないのもよく分かるかな……。
筆者 あとね、去年ヤマハからも聞いたんですけど。「βチタンは初速性能に優れる反面、コスト面が合わない。チタン素材の中でもかなり高額」だって……。
筆者 そりゃ、重い方がたわむに決まってますよね。
P編 さっき言った、フェース裏が分厚く重いってまさにそれだけど、私の肌感だと、打ち応えの重いボールもより相性が良くなるかも。フェース裏の重さと増幅されて、周縁部のたわみが増す気がしてならない。
私も振るとHS50m/s近く出てた頃なら簡単に300ヤード出せたけど、今は45m/s台でしょ。このスピードで300近く行くのは、『ST-Z 220』が低スピンなことと、βチタンを生かせるボールもあるかも。いま議論してて、そんな仮説が浮かんだね。
「フェース開閉の遅さも、結果に影響しそう」
▶▶▶西郷真央、初優勝! ミズノ『ST-X 220』投入後、トップ10を外したのは僅か1/7試合の驚異
P編 ちょっと私には開閉が速い感じだね。『ST-Z 220』は、外ブラユーザー向きというか、ターンがゆっくりで左にいかない感じ。重心距離もけっこう長めでライ角もフラットだし。そこも、なぜ私が『ST-Z 220』で飛ぶのかに関連するだろうね。
感覚的で表現が難しいけど、【ターンしづらいヘッドを返す中で、ズシッと重い打感のボールを押し切った】効果もあるかも……。私は超アッパー軌道(約5〜8°)の低スピンなドローヒッターだし、全部エネルギーが乗る感じがするね。
筆者 ………。(1Wで2、3°ダウンブローの自分からすれば羨まし過ぎる……泣)58歳でその飛距離、意味分からないから勘弁してください!
P編 暖かくなってきたし、ゴルフ行こうよ! 君は西郷真央プロの『ST-X 220』を使っていいよ。私は『ST-Z 220』で行くから勝負しよう! 両方ともβチタンだし、私の方が5m/s以上も遅いハンデをあげるんだからね!(ニヤニヤ)
筆者 ………。(ま、全く勝てる気がしない……泣)
Text/Mikiro Nagaoka