前回のまとめ。3千人中【約6割がキャロウェイで最速】
この問いに明確な回答をくれるのが、元シャフトメーカーのフィッター兼ティーチングプロで現在は独立、東京・市ヶ谷にある【4Plus Fitting Lab】の代表を務める、吉川仁さんだ。弾道計測器の「トラックマン4」「GCクワッド」の他あらゆる計測器を用意し、動作解析「GEARS」も備えた“飛びの研究所”とも呼べる施設である。
▶▶▶前回の記事はコチラ!
古巣のシャフトメーカーでフィッティングしていた際は、キャロウェイの他大手外ブラの最新ヘッドを毎年全て取り揃えて試打環境を作っていた。その中で、飛距離を求める人にはほぼキャロウェイで結果が出たとか。
ただ、キャロウェイなら【どれでもいい】というわけではなく、経験上、最もボールスピードが出たのは、『EPIC FLASH SUB ZERO』です。契約フリーの女子プロ複数が使用していましたが、このヘッドは群を抜いて真ん中打点でボールスピードが出ます」(吉川さん)
2022年の新作の中で、最速ボールスピードは?
たしかに『EPIC FLASH SUB ZERO』は、当時契約フリー選手の多くが【ウェイト外し】で使用し、長距離を出していたヘッド。吉川さんは「2本の柱が入ってから、そしてAI設計のフェースになってからが特にボールスピードが速くなった」と話す。
その2つの条件を備えたモデルは、『EPIC FLASH』シリーズ以降も、2020年の『MAVRIK』シリーズ、2021年の『EPIC SPEED』シリーズ、そして2022年の『ROUGE ST』シリーズと代を重ねている。最新作の印象はどうなのか?
「やっぱり、キャロウェイ自ら【ボールスピードゲーム】と言うだけのことはありますよ。色んなメーカーの2022年モデルの新作を既に打っていますが、もちろん、ボールスピードはトップ。ただし、『ローグST』シリーズの純正シャフトが各モデル非常に柔らかくてしなる印象があるので、そこの部分でアスリートゴルファーだと最速を体感できていない人がいる可能性もありますね。
まだ、最速ヘッド『EPIC FLASH SUB ZERO』と『ローグST』シリーズは比較していませんが、新作『ローグST』シリーズと各社の最新作との比較は全て終わって動画も投稿しています。今回の『ローグST』シリーズは、すごく打感と音がソフトになっていて、球をインパクト以降で押していきたいボクにとっては、すごく良くなった印象ですよ」(同)
最も気になる『テンセイProオレンジ1K』で試打!
事前の予想では、「さすがに、歴代1位の『EPIC FLASH SUB ZERO』は越えないかもしれませんね」とのことだったが、結果は、下記のようになった。
【1位】ローグST MAX LS/平均68.96m/s (68.3、68.6、70.0)
【2位】ローグST MAX/平均68.43m/s (67.5、69.1、68.7)
【3位】EPIC FLASH SUB ZERO/平均66.63m/s (66.7、65.2、68.0)
【1位】ローグST MAX LS/最速75.3m/s
【2位】EPIC FLASH SUB ZERO/最速72.8m/s
振ってないのに、初速が出る理由は?
「ハードヒットした」感覚とは程遠いにもかかわらず、ボールスピードが出ていた。こちらの方が、まだ余裕があるというか、振ってハードヒットすれば、もっと上の数字を目指せる実感が確実にあった。吉川さんもこう言う。
『EPIC FLASH SUB ZERO』の真ん中でしか出なかったボールスピードが、打点を外しても出る印象です。特に寛容性の高い『ローグST MAX』のスイートエリアは、『EPIC FLASH SUB ZERO』の比べ物にならない。高初速エリアが軽く2、3倍に拡がっている印象すらしますね。しかも、けっこう低スピン」(同)
「前回『EPIC FLASH SUB ZERO』が出た時、女子プロは『テンセイCK Proオレンジ』と組み合わせる人が多かったですが、今回の『1Kオレンジ』になって、切り返しのもたつきがなくなり、復元の速さが際立って感じますよね。シャフトも振り遅れてプッシュになりづらいし、今回のキャロウェイ『ローグST』は4機種全体につかまりがいい。
吉川さんの【3千人以上のフィッティング経験の6割がキャロウェイ】という経験値は、今回も揺らぐどころか、強化されてしまったようだ。
Text/Mikiro Nagaoka