『Mizuno Pro 223 アイアン』は、てんこ盛りなアイアンです。近年、急に数を減らして、絶滅するようなイメージもあるハーフキャビティという要素もあり、貫通型のポケットキャビティの要素もあり、ヘッドの大きさや仕様などはマッスルバックのような感じです。

詰め込みすぎたクラブは、欲張りすぎて失敗するのがオチだと考える人もいますが、『Mizuno Pro 223 アイアン』は完璧だと思いました。特に貫通型ポケットキャビティのアイアンで、このレベルまでの完成度を感じるアイアンはありませんでした。やさしさも受け取りつつ、マッスルバックのような敏感さも使えるのです。

試打ラウンドの途中から、参った、と何度声を出したことだったか……　素晴らしい出来で、かつ、未知のレベルに足を踏み込んでいる感覚になる夢のアイアンだったからです。

唯一の問題は、飛距離性能のところで書いた9番とPWの番手差が大きいことです。面倒臭いと思った人は、間に1本入れても良いと思います。

マッスルバックのアイアンの機能を使いつつ、飛びとやさしさはキャビティの機能というアイアンを使いたいゴルファーに『Mizuno Pro 223 アイアン』はオススメします。

もうマッスルバックは要らなくなる、と打ちながら思いました。

形状ではなく、素材の特性を活かして、アイアンとしての機能をフルに発揮させた結果が『Mizuno Pro 223 アイアン』なのだと思います。

近い未来に、『Mizuno Pro 223 アイアン』は名器として扱われることでしょう。それほど素晴らしかったです。また、このアイアンでゴルフの基礎を作ったという若者たちが、新たな系譜を求めることで、未来に向けての進化の道も開けると思います。

アドレスビューの完璧さとバックスピン性能だけで、スコアに自信がないゴルファーでも楽しんで使えるのが『Mizuno Pro 223 アイアン』だと書くと、馬鹿にしているように感じるかもしれませんが、本当にプレーしていて面白かったのです。良いものはヒットして欲しい、と久しぶりに強く願ったアイアンでした。

『Mizuno Pro 223 アイアン』

ヘッド素材：クロムモリブデン鋼 SCM4120（#4〜7）、マイルドスチール S25CM（#8、9、PW）
ロフト　　：#5/25度、#6/28度、#7/32度、#8/36度、#9/41度、P/46度
シャフト　：N.S.PRO MODUS3 TOUR 115 （S）

ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学１年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員