ロマン派ゴルフ作家語る
試打していて気になったのは、スイートスポットの位置です。左に行きづらくする意味もあって、トウ側に設定するアイアンはありますが、ちょっと過剰な感じがしました。今までアイアンをしっかりと打てたゴルファーには慣れるのに少し時間が必要です。
芯を外したときに、曲がりを抑える機能は打っていて感じますが、飛距離については現状の市場の中のアイアンの平均よりも敏感だと感じたのです。つまり、真っ直ぐは行ってくれるけれど、少しショートもしてしまうということなのです。
『213HF アイアン』は、トウ側にボールが当たりやすいゴルファーにとって、他にはないほどの最高の結果を生んでくる可能性がありますので、オススメです。
また、スコアをまとめる意味で、ショートアイアンは飛距離より精度を求めて、ミドルアイアンはパワー不足を補ってくれるというようなアイアンが欲しいゴルファーにもオススメです。
『213HF アイアン』は、思い切って、使いやすさを突き詰めたクラブだと試打しながら強く思いました。特定のゴルファーに向けて、オーダーで製作したアイアンを感じました。
広い範囲の腕前や色々なタイプなゴルファーが使えるようにすることで、本来なら満点以上が出せる機能を犠牲にして、80点まで下げることは、ゴルフクラブではよくあることです。しかし、『213HF アイアン』は、あくまでも、ターゲットとしたゴルファーに120点を出してもらうために妥協をしなかったと感じたのです。
ドライバーは当たるのに、アイアンは先っぽのほうばかりに当たってしまって、上手くいかないという悩みを持っているゴルファーは、確実に存在しています。『213HF アイアン』は、そういうゴルファーのほうが普通なのだと思わせてくれるクラブです。
個人的には、ハッキリと書くと『B シリーズ』なのに邪道じゃないか? と疑問があります。でも、冷静に考えてみれば、常識はゴルフクラブの歴史の中で、何度も何度もパラダイムシフトを繰り返してきました。つまり、今までのアイアンを上手く打てる僕らの感覚こそが古い常識になりつつあるのかもしれないのです。
今までのアイアンに不満があるゴルファーは、軽い気持ちで『213HF アイアン』を打ってみて欲しいクラブです。あなただけのための未知の扉が開く可能性をスルーするのは、もったいないを通り越して、おバカさんなのです。
試打アイテムスペック
ヘッド素材 :軟鉄鍛造、ポリマー
フェース素材:Ultimate Strong Metal 2.0
ロフト :#6/25度、#7/28度、#8/33度、#9/38度、PW/43度、48/48度
シャフト :N.S.PRO MODUS3 TOUR 105(S)