『LS ドライバー』は、少しだけボールとらえる挙動はします。それが影響するのはドロー弾道ではなく、やや左目に打ち出されるというだけです。ストレートから軽いドローが打ちやすいドライバーで、特別なことをしなくとも飛距離が出るクラブです。

手に取った印象は、シャフトが大きくしなり、ボールが上がりそうなドライバーで、上がった分だけやさしいけれど、飛距離が落ちるのだろうな、と予測していました。一発目で、完全それは間違いであるとわかりました。やわらかいと感じたシャフトは、打ってみると思いのほかしっかりしていて、ちゃんと仕事をするのです。

『LS ドライバー』は、時間をかけて、自分用にチューニングしてもらった特別注文のドライバーを打っているような気分にしてくれます。やや左目に飛ぶ癖が問題にならなければ、貧打を助けてくれるかなり強烈な武器になります。

“ヘッドスピード40m/s前後のあなたへ。
最大飛距離弾道で飛ばす、ギリギリ新シリーズLS登場。”
というコピーは、本当です。

少し慣れれば、平均飛距離で230ヤードぐらいは打てそうだと試打ラウンド中に思いました。

ただ一つだけ残念な点は、『LS ドライバー』は高額な価格帯に分類されるクラブだということです。高いから良いのは当たり前、ではないのがゴルフクラブの不思議なところで、面白いところです。一度でも失敗した後悔があると、なかなか高額な用具に手が出せないものです。

買おうと決断するときに、最後に背中を押すのは、今流行りの“エビデンス”です。『LS ドライバー』は、見た目がシンプルで、機能が見えないので、その部分で、スルーされてしまう可能があります。試打ブースで打ってみれば、確実に『LS ドライバー』の良さがわかると思いますので、見た目に騙されずに、試打して欲しいクラブなのです。

『LS ドライバー』

ヘッド素材　：Ti-811PLus（真空精密鋳造）
フェース素材：TP2（鍛造、CNC加工）
ヘッド体積　：460cc
ロフト　　　：10.5度（11.5度もあり）
ライ角　　　：59.5度
シャフト　　：Speeder EVOLUTION FOR PRGR M-40（SR）
長さ　　　　：45.75インチ
総重量　　　：283グラム

ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学１年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員