諸見里しのぶ 「どんなに進化しても、グローレらしさがあるから安心」
柴崎 2012年に初代が発売されてから8代目になります。
諸見里 初代グローレを打ったときの衝撃は今でも覚えています。当時は若い選手に飛距離で置いていかれることも多かったんですが、その心配がなくなったんです。
柴崎 初代を出すまで、テーラーメイドには日本人向けのクラブがなかったんです。当時のテーラーメイドの方針は、左に行くクラブは基本的にNGでしたから。
諸見里 そうなんですか!
柴崎 そんな中、何としても日本人向けの、球が上がってやさしくつかまるクラブを作りたかったんです。
諸見里 開発する上で苦労はありましたか?
柴崎 やはりテストですね。アメリカ人はヘッドスピードが全然違うので、向こうに住んでいる日本人を集めて行いました。
諸見里 ヘッドスピードももちろんですが、日本人は見た目や打感にもこだわる人が多いので、日本人の意見を聞くことは大切ですね。
柴崎 おっしゃるとおり。グローレは仕上げの美しさにもこだわっていて、グローバルモデルではOKだった目に見えないような埃もNGになるほど検品基準は厳しいんです。
柴崎 新モデルを出す際には、コンセプトに合わせてテクノロジーや素材など、さまざまな工夫を施しますが、日本人がやさしく打てるというグローレらしさを失うことはありません。このクラブすごくいいけど、グローレっぽくないねって言われたら失敗なんです。
諸見里 SIMグローレはグローバルモデルのテクノロジーがたくさん入っていますが、グローレらしさを出す上で難しかったことは?
柴崎 前作のMグローレはソールにも広範囲にカーボンが入っていたので設計自由度が高かったのですが、SIMグローレにはSIMの空力性能が備わっていて、ソールにイナーシャ ジェネレーターという空気抵抗を抑えつつ重心を下げる突起がついています。その影響で余剰重量が少なくなり、グローレらしいつかまりやすさや上がりやすさを出すのに時間がかかりました。
諸見里 SIMグローレはどういうゴルファーを想定して作られているんですか?
柴崎 ターゲットはヘッドスピードが40m/s前後の方で、年齢や技術レベルは幅広い層に使っていただけると思います。
柴崎 SIMグローレのテクノロジーは基本的に、ミスをカバーすることが前提になっています。常に芯で打てる人にとっては必要ないテクノロジーですが、ゴルフはミスをするスポーツですから。
諸見里 プロでもミスが当たり前でクラブに助けられていますから、アマチュアゴルファーの方々には、なおさら心強いですね。
柴崎 十分な練習時間が取れないけれど曲げずに飛ばしたいというゴルファーに、ぜひ試していただきたいですね。
文・構成/苔縄和裕 撮影/山代厚男
