ぱっと見は『フォージド』と『ホットメタル』の見分けがつかない…
⇒軟鉄鍛造のその先へ。ミズノ『JPX921』シリーズが切り拓く、【クロモリ鍛造】の新世界
P編 そこ、おさらいする必要ある? お勉強はいいから、早く打とうぜ!
筒 うぉ〜〜、これが実物ですかぁ〜〜。うわっ、『JPX921ツアー』いい顔してますねぇ〜。これがケプカ選手の好みを具現化しているというわけですね! あれっ!? これ『JPX921フォージド』なのか、『JPX921ホットメタル』なのか、どっちなんですかね? バックフェースがそっくりだから、どっちがどっちか分かりませんよ!
筒 いやいや、『ホットメタル』って7Iのフェース長が85.4mmと言ってましたよね? これ、構えると普通のサイズというか、そこまで大きく見えないですよ?
P編 ん? どれどれ……。ホントだ! 『ホットメタル』ってソールはかなり幅広で大きく見えるのに、構えると全然ボテッとしてないじゃん! それに、やさしいアイアンにありがちな、オフセットも全然控えめだよ??? これなら、筒さんも間違うはずだよ。だって、ピン『G710』とか、ダンロップ『ゼクシオイレブン』とか、フェースがめちゃくちゃ長く見えるし、オフセットも大きいけど、これなら中・上級者も使えるはずだよ。大きいのに、大きく見えないって最高じゃん!
P編 これ、顔のバランスがいいから、大きいのに、大きく見えない。いい!
『ホットメタル』の芯が広過ぎ! 『フォージド』もサイズの割に寛容性◎
―― パシーンとグリーンやや左へ中・高弾道ドロー ――
P編 さすが、筒さん。ちょっと左に巻いたけど、いいドローだね。じゃあ、私も打つよ!
筆者 村田さん、ピンまで230ヤードもあるのに、けっこう行っちゃいましたね。ボクは少しダフリ気味でかなり打点が上だったのに195ヤードくらい行ってましたよ、7Iで……。これ、芯くったら+15くらい行きそう。
筒 これ、原英莉花プロが言ってた通りです。アイアンらしい形なのに、打つとウッドみたいに高初速でぶっ飛んでいきますね。ボク、完璧な当たりにはほど遠い先っぽに当たったんですが、行ってみたら185ヤードも飛んでました!!! それに、『JPX921フォージド』も打ちましたが、このサイズではかなり芯の広い方だと思います。それに、さっきみんなで深めのラフからも2機種を打ったじゃないですか。
全米オープンのデシャンボー選手じゃないですけど、そういうラフでも初速が速いからか、打ち出し角は低めなんですけど、草が戻る前に出射してしっかり距離を出せますね。っていうか、早く5Dのラボに戻って、GEARSで動き確認したいです。これ、『フォージド』もそうなんですけど【特に『ホットメタル』がネバーフリップ動作を感じる】というか……。
P編 っていうか、「ネバーフリップ」って何!? また、筒さん独特の表現が来たね。ちょっと私にはスイングの細かいことは分からないから、その話は長岡として。せっかくだから、ケプカ選手が使う可能性の高い『JPX921ツアー』もチェックしたいしさ。
落ち着いた打感でちょっと飛ぶ。『JPX921ツアー』
―― 『JPX921ツアー』✕3人 ――
筒 もう、これは鉄板ですよね。さすが、ミズノ、さすがケプカ選手!って感じで言うことないです。打感もモチッと落ち着いた感じで球が乗りますし、『プロV1』との打感の相性がバツグンにイイですねぇ〜〜。これ、顔つきもちょっと今までの『MizunoPro』とはちょっと違いますよ。
ちょっとフェース長が長くなって見えるというか、プル角も減って見えるので、すごく素直な弾道になりやすい。リーディングエッジのラインも『MizunoPro』より丸みがなくて、包み込むイメージというより、切れ味がシャープな印象が強くなった感じ。
P編 コレ、むちゃくちゃ球が上がる。私でも8割スイングで7Iで160ヤード弱カンタンに打てたね。顔はシャープだけど、すごく球が上がる。球のくっつく時間が長いからか、方向もいいよね。時松プロの言うことも、ヘタな私でもなんとなく分かるよ。
筆者 まぁ、でも7Iのロフトは34°もありますからね。ロフト31°の『JPX921フォージド』や29°の『JPX921ホットメタル』より球が上がるのは当然かなと。ね、筒さん?
筒 ………。いや、う〜ん……。
球の強さは「ネバーフリップ」と関連する!?
筒 5Dゴルフのラボに戻りましょう。球の高さの議論については、GEARSとフライトスコープでチェックしたいですから。
―― 筒、ラボでチェック作業を終える ――
筒 長岡さん、やっぱり感じた通りでした! これ、『JPX921ホットメタル』も『JPX921フォージド』も、やっぱり【ネバーフリップ系のアイアン】だと言えますよ!!! 上下MOIがデカイというか、インパクトロフトをすごく安定させやすいです! だから、球を押しやすくて、距離の落ち込みが少ないというか。フェースの弾きと打点エリアの広さも相まって、この2つは、間違いなく【かなりショートしづらいアイアン】だと言えますね!
P編 筒さん、小難しい話はやめて!!! そもそも【ネバーフリップ】ってどういう意味なの? なんのことだか、全然分からないよ!(怒)
筒 フリップというのは、右手を手のひら側に折るような動きがインパクトで入ってしまうことです。こうなると、インパクトロフトが付きすぎてしまって、弱い球で飛びません。よく「7Iと6Iの距離がほとんど変わらない」という方がいますが、そういう人はフリップ癖を必ず持ってますね。アマチュアの8割くらいが多かれ少なかれ、フリップ動作が入ってしまっていると思います。
筒 ミズノのアイアンってプル角の付いたモデルも多かったんですが、今回の『JPX921』シリーズはそこが少ない。プル角って、スクエアフェースの状態で構えた時に、ネック軸が目標側に倒れる角度ですが、つかまりやすさを生みますよね。でも、プル角の大きいものだと自分でつかまえられる人は、いい顔の位置を探して、無意識にハンドファーストに構えすぎちゃう傾向もあります。それだとどんどんロフトが立っちゃうので、今度は動きの中で球を無意識に上げようとして、フリップ癖がついちゃう。そういうのがない、素直なネック設計です。
筆者 たしかに、『JPX921ホットメタル』って、このサイズのアイアンにしては、すごくオフセットも少ないし、ネックも素直ですよね。でも、フリップが減ると、球は上がりづらくなりませんか?
筒 「さすがツアー本場のアメリカとの共同開発。当て方がよくなる」
やっぱりPGAツアーの本場・アメリカと共同設計されたからか、ハンドファーストで真っすぐ球を押して飛ばせる【PGAツアー選手のインパクト】に導いてくれる気がします。ロフト29°で普通の長さなのに、長岡さんも村田さんもMAX210ヤードくらい飛んだでしょう? ボクのヘッドスピードでも185ヤードくらい打てたんですが、これってよく考えると、ロフト25、26°くらいの超ぶっ飛び系アイアンの飛距離ですよね?
P編&筆者 !!!(た、たしかに…)
P編 そういえば、今日コースで一度もショートしなかったね! 60歳間近の私でもこんなにラクに飛距離が出ると嬉しいよ。気分的にはPGAツアープロになったみたい。デシャンボー選手の7Iがキャリー205ヤードだっけ? そこまではいかないにしても、近い距離がこの歳で打てるなんて夢があるじゃない。コレ、全番手アイアン型UTだよ!
筆者 はい。これ、初速もヤバいし芯が広すぎ。ここまでの驚きって、記憶にあるとするならタイトリスト『T』シリーズの時くらいですよね? 筒さん。
筒 はい、ミスの強さで言うなら、『T』シリーズの時以上です。『JPX921ホットメタル』は間違いなく【ゲームチェンジャー】ですね。これは本当にズルい飛び系アイアンです……。ピンのような中空構造にもしてないのに、ここまで中空のウッド的な性能が出せるとは………。
Text/Mikiro Nagaoka
