「ボールを操る快感を教えてくれる!」 by ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典
ヘッド :S20C / 鍛造
ロフト :#3/20、#4/23、#5/26、#6/30、#7/34、#8/38、#9/42、#10/46
シャフト:N.S.PRO MODUS3 FOR T//WORLD (S)
ロマン派ゴルフ作家の篠原です。
今回は『T//WORLD TR20B アイアン』のお話です。
『T//WORLD TR20B アイアン』は、ヘッドのコンパクトさが目立ちます。マッスルバックらしいオーソドックスなアイアンです。アドレスビューは外ブラっぽい部分とホンマらしさが融合して不思議な感じですが、不快さは全くありません。スッと目標に対してセットして、アドレスができるアイアンです。
打ってみて最初の印象は抜けの良さです。特にラフで打つ際の抜けの良さは特別に良いです。次に感じるのは、ボールが上がりやすいことです。高弾道なアイアンです。
打音は高音で残響が少ないタイプです。音質はやや濡れた金属音で、この辺りは最近の外ブラのアイアンの傾向を意識したものだとも感じましたし、音量が控えめなところなどは、日本のオールドゴルファーの好みを意地で残したものとも感じました。
勝手な印象ですが、必死になって尽くしてその人好みに自分を染め上げたのに、完成した瞬間、意中の人は去ってしまったみたいなイメージが微かにあるのです。
世界戦略モデルなのだから、トップツアーである米ツアーを意識するのは当たり前ですが、個人的には「バタ臭い」部分が強調されすぎているような悲しさを感じました。本当はここまでの調整はしたくなかった…… みたいなストーリーを想像してしまうのです。
『T//WORLD TR20B アイアン』は、マッスルバックのアイアンとして、高い完成度を持っています。飛距離はロフト通りですが、高弾道は気持ちが良いのです。スピンもかかります。また、左右の曲がりには敏感です。フェードもドローも簡単に打てます。
コントロールできる快感を味わえるアイアンとしてオススメです。弾道コントロールを意識させるアイアンは、高弾道のほうが楽なのです。マッスルバックとして、良くできていると感心しました。ボールを狙い通りに止められるアイアンです。
2020年、マッスルバックアイアンが市場に何機種もあります。21世紀になってからこんなに充実しているのは初めてかもしれません。『T//WORLD TR20B アイアン』はその中で新しい日本流の新しいオーソドックスを提案するアイアンなのかもしれないと思いました。一度、打ってみて欲しいアイアンです。
コメンテータープロフィール
ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。