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タイトリストの『T400 アイアン』ってどんなクラブ?

ロマン派ゴルフ作家、ゴルフエッセイスト、ヴィクトリアゴルフのショップ店員、ALBA編集部のギア担当など、専門家が話題のギアをズバッと解説!

配信日時:2020年6月5日 17時00分

「ぶっ飛び系アイアンの歴史を変える!」 by ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典

<試打スペック>『T400 アイアン』
ヘッド    17-4ステンレス(#5〜#9、PW、43、49)+タングステン・ニッケル(#5〜#7)
フェース   SUP-10(#5〜#7)
シャフト   N.S.PRO ZELOS 7 (S)
ロフト    #5/20度、#6/23度、#7/26度、#8/29度、#9/33度、PW/38度、43/43度、49/49度
       5本組(#7〜#9、PW、43)
       1本(#5、#6、43、49、55)


ロマン派ゴルフ作家の篠原です。今回は『T400 アイアン』のお話です。

タイトリストが『T400 アイアン』を発表した瞬間、ぶっ飛び系アイアンは日本発祥で、日本独自の分類という常識が、過去のものになったと思いました。ゴルフ用具にかんして、どんな奇妙なものでも、タイトリストが発売すれば、そのアイテムはグローバルに市民権を得るという事例が、ゴルフ業界では過去に何度も起きてきたからです。

ぶっ飛び系のアイアンをタイトリストが今更出してくるなんて、何を考えているのか? と不思議がるタイトリストファンもいますが、『T400 アイアン』は、相当に日本のクラブを研究したのだとわかるほどの高レベルなアイアンに仕上がっています。

極めて個人的な意見ですが、タイトリストの『Tシリーズ アイアン』は、市場を使った壮大な実験だったのだと思うのです。

例えば、ショートアイアンは抜群に良いのに、ミドルアイアンが普通だったり、中途半端というか、熟成していないテクノロジーを、とりあえず、見切り発車的に商品化したような気配を感じました。それぞれのアイアンも、微妙な差しかなく、全体的に難しくしたいのか、やさしくしたいのかが、わかりづらかったのです。

『T400 アイアン』を打ってみて、途中からその出来の良さに感動しながら「全ては、このアイアンのための露払いだったのか」と思ってしまいました。タイトリスト初のぶっ飛び系アイアンのグローバルモデルである『T400 アイアン』は、強烈なアイアンです。満を持して、という気合いを感じます。

コースに持ち込んで打ってみました。

打音は金属系でありながら、少しだけ濡れた高音です。これが渋くて良いのです。打ち応えも、グッとフェースに乗る感触があります。それでいながら、ボールはオートマチックに、ビューと空気を裂いて飛んでいく強くのです。

ある意味で、開き直っているのか、フェースの長さはそのまま剥き出しです。左右のミスヒットには、内部構造もあってかなり強く、曲がらないです。前後のミスヒットはソールでフォロー してくれます。『T400 アイアン』は、やさしさを強く感じます。

もちろん、飛距離性能は、あらゆるぶっ飛び系アイアンの中でも、トップレベルです。高弾道性能もトップレベルで、スピン性能も立派です。ショートアイアンは、少しスピンが効きすぎだ、と感じたケースもありました。

『T400 アイアン』は、特に左には行かないアイアンです。飛ぶだけではなく、距離感も出せます。ややトゥ寄りにあたると、キャリーは少し落ちるけど、転がりで稼げます。これを武器にするゴルファーもいるかもしれない、と想像しました。

『T400 アイアン』は、ぶっ飛び系アイアンを使いたいけれど、変なアイアンは嫌だというワガママなゴルファーにオススメします。オールドゴルファーだけでなく、ヤングゴルファーでも、十分に使える面白さがあります。

少しだけ注意が必要なのは、ミドルアイアンのフェースが低いということと、ウェッジ系はフェースが丸すぎて、構えるときに少し癖を感じることです。こういうことは慣れなので、マイナスではないという考え方もありますが、同じ形状のクラブしか打てなくなるという副作用があるので、少しだけ注意をしたほうが良いと思います。

『T400 アイアン』は、ぶっ飛び系アイアンの歴史を変える可能性があるアイアンです。たぶん、日本だけではなく、世界中でも多くのゴルファーの助けになります。

近い未来に、ぶっ飛び系アイアンという呼び名は忘れられて、このロフトと番手が当たり前のアイアンのカテゴリーが生まれていることを『T400 アイアン』は予告しているように感じました。

コメンテータープロフィール

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。

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