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ミズノの『JPX200X アイアン』ってどんなクラブ?

ロマン派ゴルフ作家、ゴルフエッセイスト、ヴィクトリアゴルフのショップ店員、ALBA編集部のギア担当など、専門家が話題のギアをズバッと解説!

配信日時:2020年5月1日 17時00分

「最高のぶっ飛び系アイアン!」 by ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典

ロマン派ゴルフ作家の篠原です。今回は『JPX200X アイアン』のお話です。


<試打スペック>
ヘッド    クロムモリブデン鋼(4140M)精密鋳造
シャフト   N.S.PRO ZELOS 7 (S)
ロフト    #6/23度、#7/26度、#8/30度、#9/34度、PW/39度、PG/44度、GW/49度、SW/55度
       4本組(#7〜#9、PW)
       1本(#6、PG、GW、SW)


JPX200X アイアン』で、日本国内で『JPX』が復活すると知ったときに、最初に思ったのは、ミズノも、通称「吊るし」のクラブが必要になったのだなぁ、でした。ミズノの『ミズノプロ』は、売れているようですが、フィッティング前提のアイアンで、フィッティングなしで基準のスペックで自由に購入できるシステムではないのです。フィッティングの壁は低くなったと言われますが、2020年でも十分に壁として立ちはだかっています。壁なしで買えるモデルも必要なのではないか、と常々思っていました。

元々、日本国内で『JPX』を展開していたときも、飛ぶと説明されていたのに、飛距離性能はイマイチ、というケースが何度かありました。ミズノは、飛距離最優先のアイアンを作るのが得意ではない、ということは、セオリーになりつつありました。

更に、『JPX200X アイアン』はヘッド全体が、クロムモリブデン鋼だという機能説明を聞いて、少し絶望的な気分になりました。そんなアイアンはありません。フェースに使う素材を、わざわざヘッド全体で使うこだわりの理由は想像できましたが、それよりも放たれるボールのほうが重要です。

他のメーカーが、フェースとボディーの骨組みとバックフェースなどを、素材も変えて、バラバラに作り、貼り合わせて中空構造のような深いキャビティーバッグにして、高性能のアイアンを作っている時代に、こだわりが機能を低下させる原因になっては、身も蓋もないと考えたからです。

全く期待できずに、『JPX200X アイアン』をコースに持ち込みました。そして、スタートホールから、虜になってしまったのです。試打は2ラウンドの予定でしたが、予定を延長してラウンドしました。完全に自分が購入するためのチェックをしている感じになったのです。

最初に打ったのは7番アイアンでしたが、僕のヘッドスピード(40m/秒)でも楽に150ヤードが打てました。打音は独特ですが、高音で小気味が良いです。打ち応えは、柔らかいのです。知っているようで、細かい部分では未知の感覚ですが、それが不快ではないのです。見事なチューニングです。

7番アイアンは、最終的に慣れてくると160ヤードでも届くようになりました。驚異的な飛距離性能です。それでいて、高弾道です。特筆すべきはスピン性能で、他のぶっ飛び系のアイアンとは別物のようにスピンコントロールが可能です。

JPX200X アイアン』は、距離感の細かい打ち分けも可能です。これは、逆にミスショットしたときに飛距離が落ちたり、曲がったりするクラブになることにも繋がるのが普通ですが、『JPX200X アイアン』の場合は、違うのです。乱暴な書き方ですが、理屈はわかりませんが、ぶっ飛び系アイアンなのに、普通のアイアンのような距離感で雰囲気を出すことができるのです。

僕は、狙い通りに打てることが、アイアンの究極の機能だと考えています。ぶっ飛び系アイアンで、その部分に不満を感じないアイアンは初めてでした。

JPX200X アイアン』は、今までマッスルバックアイアンのような本格的なアイアンを使ってきたのに、飛距離的に厳しくなって困っているゴルファーにオススメします。また、とにかくぶっ飛び系アイアンを使いたいという全てのゴルファーにもオススメします。

JPX200X アイアン』は、ゴルフが上手くなった気にさせてくれるアイアンです。いわゆる標準的なスペックが、使いこなせるゴルファーへのゴルフの神様からの贈り物のようなアイアンです。

ミズノが飛距離性能優先のアイアンを作るのは無理なのだという諦めを、全てぶち壊してくれる破壊力を『JPX200X アイアン』は持っています。そして、同一素材で鋳造製造することが、機能性の高さの源だとすると、ミズノの製造方法は現状では他のメーカーには不可能なのです。つまり、優位性は、維持される可能性が高いといえます。

JPX200X アイアン』は、唯一無二のぶっ飛び系アイアンになるかもしれません。バッグに入れたくなるアイアンです。

コメンテータープロフィール

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。

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