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テーラーメイド『SIM』『SIM MAX』の重心データは『M5』『M6』とどう違うのか?

ついに発表されたテーラーメイドの2020年モデル『SIM』シリーズ。ナナメの突起が付くことで、ヘッドの性能がどう変わったのか? 重心データをマニアックに紐解きます!

配信日時:2020年1月10日 13時39分

ナナメ突起「イナーシャージェネレーター」で本当に重心は下がった?

ナナメの突起、「イナーシャージェネレーター」。これが大MOIと低重心、空力改善に導くのだとか…

ナナメの突起、「イナーシャージェネレーター」。これが大MOIと低重心、空力改善に導くのだとか…

筆者 「昨日の発表には驚きましたね。テーラーメイドは、ドライバー開発のトレードオフの関係、つまり【あちらを立てればこちらが立たず】をナナメの突起で解決したと言ってました。これが本当なら、画期的なことだと思うので!」

PCM編集長(以下、P編) 「まぁ、言いたいことはわかる。君は【第二重心高】、つまり低重心率信奉主義者だもんね……」

PCM筒康博(以下、筒) 「長岡さん、でも今は昔みたいな吹け球グセは直ったじゃないの? だいぶ打ち方が変わって、左手のナックルが先行するようになって、逆にドロップが増えたでしょ? 低重心でスピンを殺すようなヘッドとは逆に、打ち出し角をラクに足せるヘッドの方が飛ぶでしょ?」

筆者 「え〜っと、ボク個人の話しはどうでもいいんで、『SIM』のナナメ突起が、本当に低重心・大MOI・空力改善を達成しているのか? そこを『M5』『M6』と比べたいんですよ」

P編 「オッケー、MOIと空力は計測できないけど、それでもいいなら、内部重心の比較で見てみようか」

まずは、「スピン量」の影響要素を見る

スピンに影響する内部重心要素を抽出!

スピンに影響する内部重心要素を抽出!

筆者 「一番気になるのは、低重心度合いです。今回の『SIM』は『M6』でも付けていた突起を発展させてナナメに入れてますが、低重心率でどれくらい差があるのか? 見て欲しいんですよ」

 「低重心度合いで言えば、『SIM』はやっぱり圧倒的に低重心になりましたよ! 低重心率って、フェース高さのうち、どのくらいの高さにSS(スイートスポット)高がくるかの指標ですが、これで言うなら、『SIM』が群を抜いて低重心ですね。『SIM MAX』は低重心率で言うとそんなに『M6』とは変わりませんけど、大きな変化は、ヘッド高が両機種とも3ミリ前後低くなったこと。この3ミリって視覚的に大きな差で、昨日、塩見好輝プロと永峰咲希プロが、【すわりがよくなった】と言っていた部分とも関連するかなと。

ヘッド高とフェースが切られる位置には差があるんですが、シルエットがヒールスッキリで膨らみがトゥ側にある、よりタイガー好みな感じになりましたよね? こういう形状で必要以上にヘッド高が高いと、視覚的な難しさが来ますが、ヘッド高が下がってそう見せない工夫だとも言えるかなと。しかも、それでいて低重心率は『SIM MAX』は変わってないですし、『SIM』は低重心になった。普通は視覚的にシャローでやさしくなれば、スピン量も増えがちですが、性能的にそうならないということですね」

筆者 「確かに。人によってはコレを洋ナシと言う人もいますが、タイガーというか、昔の上級者好みな感じなのに、構えて難しさを感じない。このクラウンの明るい色も影響してません?

P編 「そうだね、『Mグローレ』ほど薄い色じゃないけど、その間というか、キラキラして見えるね。というか、ヘッド高を下げられた理由も、やっぱりナナメの突起で低重心に出来たからじゃないの? 実際、3人とも、すごく低スピン弾道が打てたよね? 今回は『SIM MAX』でもかなり低スピンだったなぁ〜

次に、「打ち出し角」の要素を見る

今度は打ち出し角や球の高さを読み解く要素

今度は打ち出し角や球の高さを読み解く要素

筆者 「そこ! ボクも『SIM MAX』で意外に強い球を打てたので、ちょっと驚きました。『M6』はひたすらボカーンと上に上がって、スピンもそこそこ入る感じだったのに、シャフトは『SIM』よりラクですけど、ヘッドだけを見ると、意外に叩けるというか……。これ、軸線深度とか、どうなってます!?」

 「それね、計測ロフト、通称リアルロフトも影響していると思いますよ。ヘッドは個体差があるので、必ずしも全てに当てはまるとは言えませんけど、表示ロフトに比べて『SIM MAX』だけ少し少なめに出ました。『SIM MAX』を選ぶゴルファーは非常に多いと思うので、ロフトで見栄を張らないことと、店頭でしっかり試打して購入した方が良さそうですね…」

P編 「なるほどね、どおりで低スピン球が打ちやすかったはずだよ。そういえば、松山英樹プロも『SIM MAX』をテストしていたんだっけ? ダスティン・ジョンソンも『SIM MAX』だったよね? 今年は意外とプロも『SIM MAX』ユーザーが増えるんじゃないか? だって、『M5』のウェイトを一番後ろにしたら、『M6』に近い重心深度になってたじゃない。この計測はあくまでもノーマルポジションの比較だろう? そう考えると、深度的に『SIM MAX』がちょうどいいプロもけっこういるはずだよ?」

筆者 「まぁ、でも『SIM』も棒球がめっちゃ出やすくて、『M5』より少し高さを出せる感じになったと思いますよ? どちらかと言うと、『M5』がやさしくなった感の方が強いというか……」

 「それは、長岡さんがハードヒッターだから、『M5』ばかり見てたからでしょ! 一般ゴルファーは、元々『M6』しか見てなかった人ばっかりだと思いますよ? まぁ、でも『SIM』はFP対比で、軸線深度の方が突出し始めたというのは、明らかにイナーシャジェネレーターのせいでしょうね。数字はいま測れませんが、MOI的にも差が出てると想像します」

最後に、「つかまり」の要素を見る

つかまり具合を読み解く要素

つかまり具合を読み解く要素

筆者 「ちょっと、気になってること言っていいですか? 今回の『SIM』って、めちゃめちゃフラットに見えるんですけど、気の所為ですかね? ヘッド高が低くなったことよりも、ライ角がフラットなことの方が、パッと見で目につくというか……」

 「いいとこ、突いて来ますねぇ〜、長岡さんのくせに鋭いっ!」

筆者 「………。いや、誰が見てもわかるでしょ、このフラットさ。スーパーフラットですよ、表示ライ角が『M6』は58°でしたけど、『SIM MAX』は56°と、2°フラットになったんですが、それ以上にも見えなくないです……。そのせいか、気持ちつかまりが減った気が……、そりゃ、ハードヒッターのプロが使えるようになるわなぁ〜と

 「でも、球は真っすぐだったでしょ? というか、『M6』よりサイドスピンかかりづらいと思いません? ドーンと真っすぐストレート球が打ちやすかったでしょ?」

筆者 「んまぁ、そうなんですけど、ちょっとここまでフラットだと視覚的につかまりを気にする人もいるのかなぁ〜と……。それに、ヘッドのシルエット的にも、やや縦長というか、後ろが短くなってるでしょ? 重心距離も伸びてる感じが振っててするし……」
『SIM MAX』はヒールがスッキリ!

『SIM MAX』はヒールがスッキリ!

P編 「つかまりはスイングの個人差が大きいからさ。単純なヘッドスペックやシャフトスペックだけで全てを語れるわけではないからね。でも、個人的には、『SIM』も『SIM MAX』もストレート球が打ちやすい。どっちも何も調整しなくてもつかまるとか、つかまらないとか、全く気にならなかったけど? 純正シャフトがしっかり目で、ヘッドの暴れが減った気がするね。

ナナメの突起で空力を改善すると言ってたじゃない? それもあるんだろうけど、それ以上に、純正シャフトの出来の良さが目立つ気がする。とにかく、『SIM』のテンセイシルバーTMも、『SIM MAX』のテンセイブルーTMも、2つとも先が走りすぎずに、すごく出球を安定させやすいシャフトだと感じるね。「グラフェン」素材が先端に入ったせいなのかな、打ちやすいよ

 「同感です。それに長岡さん、今回テーラーメイドはMOIの数値を公表してませんが、今回の純正シャフトを計測しても思うんですけど、大MOIヘッドの挙動を安定させるいい感じのところをかなり研究してきたと感じます。剛性的には『SIM』も『SIM MAX』も先端と中先をむやみに走らせる感じじゃなく、安定させる感じなので、ミート率も上がると思いますよ」

筆者 「概ね、ボクもそれは同感です。じゃあ、最後に、この4機種の中で、値段を別にして、使うとしたらどれですか? ボクから言うと『SIM MAX』の10.5°ですね」

筒 「………。長岡さんと被るのはシャクですが、同じかな…」

P編 「私の場合、『SIM』の方が曲がらなかった。コレの9°だろうね」

Text/Mikiro Nagaoka

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