「ゼクシオエックスアイアンは尖った最先端である!」 by ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典
<試打スペック>
番 手/5番〜9番、PW、AW
シャフト/MIYAZAKI AX-1 カーボンシャフト(S)
『ゼクシオ エックス アイアン』は、孤高を感じさせるアイアンです。
まず、見た目が飾り気がなく、ヘッドも小さめで、渋いのです。僕の勝手なイメージでは、ゼクシオは学級委員のように真面目だけど目立つ存在という感じでしたが、『ゼクシオ エックス アイアン』は、クラスの一番後ろの席で、誰とも群れずに、窓の外をいつも遠い目で見ている生徒というイメージです。(それはそれとして、目立つことには変わりませんけれど)
ゼクシオが今回搭載したテクノロジーは『ゼクシオ エックス アイアン』にも搭載されています。つまり最先端なのです。
構えてみると、期待が高まるアイアンです。ヘッドの大きさや、フェースとネックのラインやトップエッジの形状など、本格的な雰囲気を感じるのです。『ゼクシオ エックス アイアン』は、かなりの上級者でも満足するようなアイアンに仕上がっています。
コースに持ち込んで、『ゼクシオ エックス アイアン』でラウンドしてみました。
最初に驚いたのは、打感です。澄み切っている抜けるような感触は、軟鉄鍛造のマッスルバックのアイアンのようでした。5番アイアンのヘッドを確認してしまったほどです。自分のアイアンと間違えて打ったのかも、と考えてしまうほど、想像を超える打感でした。
打音は、大人しめの音量ですが、単音で通好みのアイアンのショット音です。高音すぎず、低音すぎず、ちょうど良いのです。ボールは中弾道です。最新のアイアンが高弾道のものが多い中で、あれ? と思うほどの中弾道で、初速感がある強いボールです。
5番アイアンで160ヤードでしたが、ボールが5ヤードぐらい転がっていたのは気になりました。飛距離性能は、クラシカルなロフトのアイアンと比較してミドルアイアンは1番手、ショートアイアンは少し飛ぶという感じです。7番アイアンのロフトは29度ですので、ぶっ飛び系アイアンではありません。
ショートアイアンになると、急にスピンがかかります。ただ、少しボールが低いのです。打ち応えは敏感にわかるのが『ゼクシオ エックス アイアン』の特徴ですから、芯に当たっていることがわかって、弾道を目で追うと違和感がありました。
『ゼクシオ エックス アイアン』は、ヘッドスピード40m/秒の僕にはオーバースペックでした。ちなみに、一緒にプレーしていたヘッドスピード45m/秒の友人に打ってもらったところ、逆に高弾道で、ボールコントロールがしやすい、という評価でしたし、見ていてもそう感じました。
『ゼクシオ エックス アイアン』は、ヘッドスピードが速く、今までゼクシオのクラブに興味がなかったゴルファーにオススメします。オーバースペックでも、色々なことがわかりました。ボールを曲げるのは簡単です。敏感に反応します。これも、まるでツアーモデルのようでした。
『ゼクシオ エックス アイアン』は、この構造で、最先端のテクノロジーを搭載しているアイアンとしては、奇跡的な素晴らしい打感が特徴です。飛距離性能ではなく、アイアンは狙い通りにボールを運ぶ用具だと考えているゴルファーにオススメです。ご褒美のような打感に酔いしれるゴルフができる人は、一握りですが、『ゼクシオ エックス アイアン』は、そういう人たちのために作られたようなクラブです。
『ゼクシオ エックス アイアン』は、ゴルファーに挑戦するアイアンで、ある意味では、先生みたいな役割も担っているアイアンです。ゼクシオのクラブは、日本中でたくさんのゴルファーに愛されています。だからこそ、『ゼクシオ エックス アイアン』みたいなクラブが出てくるとは想像できませんでした。合っている人だけ、わかる人だけに機能すれば良いというクラブを打ち終わって、僕は清々しい気分になりました。
人気ではなく、実力を最優先した『ゼクシオ エックス アイアン』を手にして打ってみることをオススメします。
コメンテータープロフィール
ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。