改めて、チタン製のメリットを整理しよう。一番はステンレスに比べて比重が軽く、同じ重量でも大きく作ることが出来る点だろう。ドライバーはその点を上手く利用しているのだが、大きさがさほど必要でないFWの場合は、その余剰重量をウェイトなどに配分している。

そして、強度が高い点も注目される。例えば、フェースを薄くつくって反発性能を上げることも出来る。最近では、マレージング鋼などの素材をフェースに採用するモデルが多いが、素材としてのチタンの飛距離性能はやはり高いものがある。その力は、多くのゴルファーがドライバーで十分に感じているはずだ。

チタンの飛距離性能を示すエピソードとして、ローリー・マキロイの例がある。今季から『M5』を使ったマキロイは、その性能を非常に気に入って、クリーク（5番ウッド）でも十分な飛距離が得られるということで、スプーン（3番ウッド）を抜いてしまったという。

チタン製のメリットを感じさせる現行モデルとしては、ダンロップ『XXIO プライム』、マルマン『シャトルゴールド』、ロイヤルコレクション『SFD X8』などが挙げられる。対象となるゴルファーは異なるが、どのモデルもややヘッドが大きく、ボールが上がりやすく、そして軽やかなチタンの打感・打音が楽しめる好モデルになっている。

『XXIO プライム』はプレミアム志向のゴルファーがターゲットということもあり、7万5000円（税抜）とやや高額だが、『シャトルゴールド』と『SFD X8』は、それぞれ４万2000円と４万8000円（※ともに税抜価格）と、かつてよりもチタンFWは安価で購入できるものが増えているようだ。

私見だが、「FWにはチタンは必要ない」という定説を覆したのは、大手以外の独立系メーカー、いわゆる地クラブだったように思う。こうしたクラブを選ぶこだわりゴルファーは、値段が高額であっても良いものなら買うという人が多い。チタンの優位性を活かした優れたFWがパーツ系から登場したことが、新たにチタンを採用するFWが増えたことの呼び水になったのではないだろうか。

その代表的なモデルが『RODDIO』だ。チタンのボディに比重の重いステンレスのソールプレートを組み合わせて低重心化して、飛距離性能を高めたヘッド。ソールがパカっと開く、独自の調整機能でカスタマイズ出来る点もギアマニアの心をくすぐった。成田美寿々などツアープロがバッグに入れるなどしたこともあり、上級者を中心にロングセラーを続けている。