PGAショー前にどうしてもキャロウェイ本社に行きたかった
松尾俊介(以下、松尾) 「スコアの40%を占めるパッティング、そこで使われるパターについてゴルファーは意外にも正しい情報をもとに選んでいる人は少ないと思うんです。同時にパター部門の世界No.1であるオデッセイが新製品を昨年12月に発表しました。
今までは『O-WORKSシリーズ』『STROKE LABシリーズ』『WHITE HOTシリーズ』など、それぞれのシリーズは異なったコンセプトで製作され、ゴルファーの打ち方にあったものを選択してもらうシステムだったのに、今後は新しい『STROKE LAB(ストロークラボ)』でかなりのゾーンをカバー出来るようになると。なぜか? これが知りたかったからです」
筆者 「なるほど。確かに、前作『ストロークラボi』は特殊なゴルファー向けな印象はありました…」
松尾 「今までの経験からすると、それだけの選択をするには何か新しい事実に基づいた理論、考え方が存在するはずです。また、その背景には何があるのか? これからのパター開発にどのようなスタンスで取り組んでいくのか? を知りたくて、キャロウェイゴルフのパター開発責任者、Mr.オデッセイと言われる、旧知の仲のオースティ・ローリンソン氏(以下、オースティ)に直接話を伺うことにしたんですよ。そこで、まずは開発の背景を聞きました」
『STROKE LAB』の開発の背景とは?
そして、スイングウェイトが重すぎると、パターをコントロールすることが難しくなってきていた面もあります。ヘッドが重くなった影響もあり、シャフトの硬さはどんどん柔らかくなってきました。この重さと硬さのバランスの変化と、今ちょうど良いものをよく見る必要があるのです。実例を2つの機種で見てみましょう」
松尾 「なるほど、重さと硬さのバランスの中身か…。深いですね…」
でも、こういうスイングウェイトが大きい方が、ゴルファーはヘッドの動きをコントロールしやすい面もあります。大きすぎるとコントロール性をまた失うのも事実ですが。
初代『ストロークラボ』では、ストロークの改善のため、シャフトを軽量化することでヘッドとグリップの重量を増やしました。ただ、【1】シャフトの径を太くせざるを得ない、【2】シャフトの硬さが柔らかい、【3】パターの総重量が軽い、という課題もあったのです。これらの課題を解決することが、今回のパター開発の目標でした。そこで、我々がこれらを克服した要素を下記にまとめます」
⇒ シャフト重量 130g→87gに。 シャフト硬さ 330cpm→360cpmに。
【2】ヘッド重量を10g、グリップ重量を30g増加
◎ヘッド重量 マレット:365g ブレード:360g
◎グリップ重量 マレット:75g(インナー:30g)
ブレード:65g(インナー:40g)
◎スイングウェイト マレット:E-5 ブレード:D-9
オースティ 「シャフトをカーボンとスチールのハイブリッドにすることで40gの軽量化に成功することができました。生み出した重量の貯金をヘッドとグリップに分散することで、先程言っていたような、多くの人にちょうどいいスイングウェイトと総重量を得ることができたのです」
“カイゼン”の結果、メリットは大きかった!
オースティ 「パーフェクト。まず、シャフトを硬くできたことが大きいですね。実際に打ってみると、ボールスピードがアップします。何より、シャフトの不要な動きを抑えることができる。これはすごく良いところだと、かなり多くのゴルファーに感じてもらえると思いますね。
この軽量シャフトの採用で、パターのバランスポイントがグリップ寄りに移動することでカウンターバランスになります。ここも大きなポイントで、クラブのコントロールがよりしやすくて、ストロークの再現性が高まる。多くのゴルファーのストロークのテンポが安定する効果も生み出すことができます」
松尾 「なるほど、さすがMr.オデッセイ!パターの過去の歴史から紐解いて、基本を見つめ直した結果、現状のパター開発におけるあらゆる課題を克服したのが新しい『ストロークラボ』なんですね。つまり、多くのゴルファーをこのモデルで救える。これはパター史のターニングポイントになるかもしれませんね、オデッセイがこのモデルに注力する意味がよく分かりました。ありがとう!」
オースティ 「ユアウェルカム」