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“魂”を込める戦いが琵琶湖で開幕 レジェンドの教えで開花する若手に期待【中野晶のステップ・アップ通信】

超難関・琵琶湖CCで行われる一戦。中野晶が見どころと注目選手を紹介する。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2023年4月5日 16時00分

国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは第3戦の「Hanasaka Ladies Yanmar Golf Tournament」が滋賀県の琵琶湖カントリー倶楽部で開催される。日本を代表する権威ある大会を幾度となく開催してきた難関コースで行われる本大会。同ツアーで解説を務める中野晶に見どころと注目選手を聞いた。

■ステップアップするために乗り越える壁 難関コース攻略のポイントは?

開催コースの琵琶湖カントリー倶楽部は「日本オープン」、「日本女子オープン」、「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカ杯」(当時)、「日本シニアオープン」を開催してきた名コース。当然ながら、その難易度も高く、昨年大会は3日間通算アンダーパーがわずかに4人。予選ラウンドでは80以上を叩く選手も複数出るほどの仕上がりで、ステップ・アップ・ツアー屈指の難コースといってもいい。

「どこのコースでも綿密な計算が必要ですが、琵琶湖カントリーはより綿密さが問われます。グリーンも硬く仕上がると、ピンに対してどこに止めるのか、計算をして攻めなければいけません。そのためには、ティショットのポジショニングから考える必要があります。それができないと優勝はできません」(中野)

昨年大会では60台のスコアは全選手・全ラウンドを通じて6回のみ。優勝した脇元華が初日と最終日に達成したほかは、4選手が1回だけという難しさだった。

「きっちり止まるボールを打てることが第一条件です。ティショットをフェアウェイに置くのはもちろんのこと、グリーンを狙う際には高い球、スピンのきいた球を打っていかねばならないと思います。選手を育てていくという環境を考えてくださる大会で、すごく楽しみです。ここでの戦いは、ステップアップするために越えなければならないといってもいいでしょう」。まさに、ツアーの名称を体現する大会と言ってよさそうだ。

自分のプレーをして、結果スコアがよかったというのはあること。ただし、「優勝するには強い気持ちを持って戦うことが重要で、魂を込めないと勝つことができません。入魂という言葉があります。だからこそ、このような難コースで優勝すれば自信になると思いますし、若い選手たちにはそのようなプレーを見せてほしいです」と全精力を傾け、難関に立ち向かう若手に期待したいと中野は言う。

■“魂”のレジェンド・プレーヤーが師匠?

華やかな女子プロゴルフ界とはいっても、勝負事は勝つためにやるもの。かつて日本女子プロゴルフの創世記から活躍を続けた選手たちのプレーには“すごみ”があり、魂を感じたものだ。中野にとっても先輩たちのそんな代表格の選手を、今の若手はどれだけ知っているのだろうか。実は、ルーキーのプロフィールを見ていると、師弟関係の欄にレジェンドの名前が出てくることに気づく、

「先週のラシンクで4位タイに入った台湾出身のウー・チェイェンさんは、ト阿玉さんが師匠なんです。チェイェンさんはオフのあいだ、トさんと回るそうです。そこでどんな話をしながら回っているのか聞いてみたいくらいです。きっと、勝負する魂を植え付けられているのではないかと思うんです」(中野)

ト阿玉といえば、国内ツアーの会員になる前に13勝、会員になってからは58勝と、圧倒的な強さで勝ちまくった。ピンクのウェアを身にまとい戦う姿は華やかな勝負師そのもの。5年連続を含む7回の賞金女王に輝いた伝説のゴルファーの魂が受け継がれたのがチェイェン。台湾でジュニアスクールを開くトの元で、先月19歳になったばかりのチャイエンは腕と心を磨いてきた。

「勝負ごとでは、気持ちを込めても負けることがあります。それでも勝つために戦うことを続けていかなければならない。世代を超えて勝負魂を伝えていくのは女子ゴルフ界にとっては素晴らしいことですし、若手の選手に受け継いでいってほしいと思います」。トは現在68歳。年齢の差を超えて、バトンが受け継がれている。

また、ラシンクで初優勝を遂げた橋添穂(みのり)は、父でプロゴルファーの純司さんの教えを受け、21年6月のプロテストに合格。昨年は優勝まであと一歩に迫りながら悔しさを味わった。そして迎えた今季2戦目。「優勝できると言い続けていて、できると信じてプレーしていたと話していました。最終日の後半はチップインもあって3バーディ。私は勝てると思ってプレーした、というところに魂の強さを感じました」と中野。

「ステップの賞金ランキングで上位に入って、来シーズンのレギュラーに出場するというのが目標と話していました。キリッと締まった表情でプレーしていて、冷静さもありましたし、テンポも技術も見ていて気持ちよかった。確実に一歩目を踏み出したのではないでしょうか」。純司さんは70歳を超えるがいまだ現役のシニアプレーヤー。そんな家族内レジェンドの教えが、橋添をさらに強くする。

■大先輩と一緒にトレーニング レジェンドの門を叩いたルーキー

もう一人、プロ魂を受け継ぐ選手がいる。開幕戦の「大王海運レディス」で最終日を首位と1打差の2位タイでスタートした仲村果乃。最終日最終組の重圧に跳ね返されたと仲野自身語るように、崩れて4位タイ。そして2戦目のラシンクでは16位タイ。実力が試される3戦目の舞台で、どんな戦いを見せるのか楽しみな選手だ。

そんな仲村のプロフィールを見ると、吉川なよ子の名前が師匠の欄に書かれている。通算29勝。永久シードにあと1勝届かずも、70年代、80年代、90年代の女子ゴルフ界を引っ張った一人だ。そんな大先輩と同じ練習場だったという仲村。吉川の教えを受けたいと母に頼み、“弟子入り”を懇願したという。

「アドバイスをもらいたいと思ったところに貪欲さを感じます。先輩から教わることは、とても貴重な経験になっていると思います。一緒にトレーニングもしているというのが素晴らしいです。21歳の仲村さんと74歳の吉川さん。吉川さんの背中を見ることが、仲村さんにとっては財産です」(中野)

仲村はタイヤ引きやチューブを使った上半身のトレーニングなどを行いながら、体作りに励むと同時に、吉川からは走り方から歩き方まで指導を受けているという。親子以上に離れた年齢差はあれど、同じプロゴルファー。「勝負に対しての気持ちを学ぶこともできているのではと思います」と中野が言うように、自然と勝負魂も伝わっているのかもしれない。

開幕戦で優勝争いに敗れたことを吉川に報告すると、『優勝はつかみにいくものじゃないよ、降ってくるものだよ』と言われたという。「優勝は1日に1ストロークにも満たない差で決まるものです。時には運も味方してくれることもありますが、やることをしっかりやっていれば、勝てなくても仕方ない。そういうことを言っているのではと思えます。重い言葉ですね」と中野にとっても先輩のこの言葉は心に響く。

「優勝のほうが近づいてきてくれるよ」と吉川は仲村を諭したという。数多くの優勝争いを演じた吉川だからこその言葉。「吉川さんはプロゴルファーとして、常に勝つゴルフを目指してきた勝負師です。そういう部分も若い選手に伝わっていくといいですね」。酸いも甘いも知ったレジェンドからのエッセンス。受け継がれていく魂がステップの戦いでも見られることになる。

解説:中野晶(なかの・あき)

1987年のプロテストに合格し、90年に賞金ランキング25位に入りシード権を獲得。以降、ツアー通算9勝。2000年には同ランキング2位に入った。現在はテレビ解説や日本女子プロゴルフ協会の大会コースセッティングも担当するなど、幅広く活躍を続けている。

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