今季から藤田寛之がフル参戦している米シニアツアー『PGAツアー・チャンピオンズ』。その名の通り、PGAツアーで優勝経験のある選手たちを中心にしのぎを削り合う。その一方でシニアになってから頭角を現した選手もいる。いま米シニアの勢力図はどうなっているのか、ゴルフネットワークの『PGAツアー・チャンピオンズ』の解説でお馴染みの吉田洋一郎(ひろいちろう)が世界のすごいオジサンたち、『凄オジ』を紹介する。
◇ ◇ ◇
タイガー・ウッズが米シニアツアーにいよいよ参戦!?
私の主観ですけど、米シニアツアーは間違いなくガチンコ感があります。PGAツアーで勝っている選手も、勝てなかった選手も、もうひと花咲かせようとセカンドドリームを求めています。藤田さんもYouTubeで言っていましたけど、初日から完全に勝ちに来ている。まさにその通りだなと思います。
勢力図としては、PGAツアーで何勝も挙げてすごく活躍したグループ、1~2勝している中堅グループ、優勝どころかほとんど試合に出られなかったグループの3つに分かれます。シニアで9勝を挙げているニュージーランドのスティーブン・アルカーは、2度の年間王者に輝いているトップ選手ですが、PGAツアーでは未勝利で、下部ツアーを中心に戦ってきました。アルカーのような選手がシニアに入って活躍するのも見どころの1つです。
かといってPGAツアーで実績のある選手が、50歳になっていきなり勝つかと思ったらそうでもない。それくらいレベルは高いですね。そんな中でフィル・ミケルソンは2020年にシニアデビューすると、6試合で4勝と無双しました。今はLIVゴルフに移籍して出ていませんが、シニアで自信をつけて21年には「全米プロ」でメジャー6勝目(50歳でのメジャー勝利は最年長記録)を挙げました。
一方、PGAツアーでミケルソンと優勝争いを繰り広げてきたタイガー・ウッズも、12月に50歳の誕生日を迎えます。シニアツアーはカートを使って移動できるから足の問題もありませんし(度重なるヒザや腰の手術に加え、今年3月にアキレス腱を断裂)、試合勘もしっかり戻せる。タイガーもミケルソンのようなやり方で、メジャー勝利を狙っているんじゃないかと思います。
それでは、今年活躍している選手に加えて、私が個人的に注目している選手を紹介しましょう。
【藤田寛之の前に立ちはだかる“凄オジ”たち】
■ミゲル・アンヘル・ヒメネスはグリーン上が安定して今季大ブレイク!
■パドレイグ・ハリントンはシニア入り前に300ヤード超のスイングに改造
■2度の年間王者! スティーブン・アルカーはロボット並みにスイングの再現性が高い
■“全英覇者”スチュワート・シンクは平均300Y超の圧倒的な飛距離が一番の武器
■“南米の英雄”アンヘル・カブレラは抑えたアイアンショットでバーディを量産
■アーニー・エルスは“ビッグイージー”と呼ばれたゆったりスイングから変貌!?
■18年のライダーカップ主将、トーマス・ビヨーンはメジャーで2位2回と大躍進
■全米オープン2勝のレティーフ・グーセンは、難セッティングで真価を発揮する!?
【coming soon】
ジェリー・ケリー、ダレン・クラーク、Y.E.ヤン、K.J.チョイ、ソレン・ケルドセン、ベルンハルト・ランガー、リチャード・グリーン、リカルド・ゴンザレス
解説:吉田洋一郎
よしだ・ひろいちろう/1978年生まれ、北海道出身。毎年、数回はアメリカやヨーロッパを訪れ、海外の最新ゴルフ理論を常にアップデートしているゴルフスイングコンサルタント。海外のセミナーなどで得た資格は20を超える。海外で活躍するトップ選手やコーチたちとも交流があり、その知識を活かして、ゴルフネットワークで米シニアツアー『PGAツアー・チャンピオンズ』の解説を務めている。