ノースとサウスの2コースを使用した予選2日間は、荒れ気味の天候と相まって難度が極端に高まり、星野陸也など日本のルーキー3人とPGAツアーで2シーズン目を迎えている久常涼を含む多くの選手が、容赦なくふるい落とされた。
しかし、3日目は一転して「コースセッティングは、きわめてイージー。ショット、パットともコントロールして、スコアメークするだけだった」とは、優勝したイングリッシュの言。3日目が選手たちのスコアや順位が大きく動くムービングデーらしい一日になった展開も、PGAツアーの典型的なシーンだった。
そして迎えた最終日。イングリッシュは単独首位とはいえ、2位との差はわずか1打だった。54ホール・リーダーに立ったのは実に4年ぶり。その状況からもたらされるプレッシャーは多大だったようで、出だしから1番でボギーを先行させ、5番でもボギーを喫した。そんなプレーぶりには、イングリッシュの心の震えが、ありありと見て取れた。
だが、その安定感から“ミスター・ステディ”の異名をとるイングリッシュは6番でバーディを奪うと、そこから先は冷静沈着なプレーでパーを拾い続けた。
1打差で迎えた72ホール目も、ティショットを大きく左に曲げたものの、しっかりとパーパットを沈め、右手を挙げて勝利のガッツポーズ。
「すでに35歳。PGAツアーで過ごしてきたこの14年は決してイージーではなかったけど、ゴルフというゲームと選手たちに常にリスペクトを払って、きょうまでなんとかやってきた。このコースはハードなセッティングでハードなコンディションだけど、僕は難しいほうが好き。今週の舞台は、まるで僕のためにセットアップされていたように思う」
優勝者だからこそ口にできる言葉を、うれし涙をこらえながらしみじみと口にしたイングリッシュの様子は、彼が幼少時代から憧れていたというデービス・ラブIIIやフレッド・カプルス(ともに米国)の輝かしい日々の姿を彷彿とさせた。今年のファーマーズ・インシュランス・オープンはPGAツアーのトラディショナルな香りに包まれた良き大会となった。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
