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藤田寛之“神のキープ率”に期待 全米シニアOPは正確性の勝負【吉田洋一郎's Eye】

全米シニアオープンを制するのは誰か。吉田洋一郎氏が優勝候補と大会の見どころを語った。

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ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2025年6月26日 17時55分

昨年2位の藤田寛之。“神ショット”の再現でリベンジなるか(本人提供)
昨年2位の藤田寛之。“神ショット”の再現でリベンジなるか(本人提供)

<全米シニアオープン 事前情報◇26日◇ブロードムーアGC(コロラド州)◇7247ヤード・パー70>

シニアゴルファー世界一決定戦が、まもなく幕を開ける。主催の全米ゴルフ協会(USGA)が仕掛ける難セッティングを制し、栄冠をつかむのは誰か。米ツアー中継でおなじみの解説者であり、今大会でもゴルフネットワークの解説を務めるゴルフインストラクターの吉田洋一郎氏が、大会の見どころと優勝候補について語った。

【写真】頑張れ、三銃士!



■名匠の設計に難セッティング ショット精度がカギを握る

舞台となるのはコロラド州の名門・ブロードムーアGC。名匠ドナルド・ロス氏が設計し、後にこちらも巨匠のロバート・トレント・ジョーンズ氏による改修が施された。過去には「全米女子オープン」と「全米シニアオープン」が2度ずつ開催されており、吉田氏も「ゴルフ場として完成されている。総合力が試されます」と評価する。

広いグリーンに大木でセパレートされたレイアウト、そしてUSGA特有の深いラフが選手たちを苦しめる。「『曲げたらダメですよ』っていう設定になるはず。ドナルド・ロス設計のグリーンには傾斜があり、フェアウェイキープが最優先事項。そこからピンポイントで狙うアイアンショットが求められます。飛距離と方向性の両立が重要」と語る。

中でも重視するのは方向性。吉田氏は、同じUSGA主催の「全米オープン」での難条件を例に挙げる。優勝スコアがわずか1アンダーで、「最終日が雨だったこともあり、面白いように、みんなガタガタ崩れました。」

吉田氏が特に重視するのは方向性。同じくUSGAが主催する今年の「全米オープン」は、過酷なセッティングにより、優勝スコアがわずか1アンダーだった。「最終日が雨だったし、面白いように、みんなガタガタ崩れました。ラフが深く、レイアップも厳しくなる。だからこそ、ティショットの安定感が何よりも大切」と強調した。

■ショットメーカーが断然有利 賞金王の本領発揮か

「ショットメーカーが圧倒的に有利」と断言する吉田氏が優勝候補筆頭に挙げたのは、スティーブン・アルカー(ニュージーランド)。2022年と2024年に賞金王に輝き、今季も1勝・トップ10入り9回と絶好調だ。

「ロボットのようにスイングの再現性が高いですし、完成されている。常にピン5メートル以内にボールを運び、パットが入り出すと手が付けられない。爆発的なスコアを出せる選手」と絶賛した。

ツアールーキーのソレン・ケルドセン(デンマーク)も怖い存在だという。2016年の「ISPSハンダワールドカップ・オブ・ゴルフ」では、トービヨン・オルセンとコンビを組んで優勝。米ツアーの実績こそないが、DPワールド(欧州)ツアー通算4勝の実力者だ。50歳の誕生日を迎えてシニアに参戦し、目覚ましい活躍を見せている。

「彼はQTを1位で通過した。今年は全部(4試合)トップ10なんですよ。勢いに乗っているし、今週もいいかもしれない。台風の目になる存在」

さらに、リチャード・グリーン(オーストラリア)にも注目する。22年のQTを1位通過し、何度も優勝争いに絡んでいるが、いまだ未勝利。「シルバーコレクター化している。初日にいいスコアを出してトップに立つことが多く、いつ勝ってもおかしくない」と、大一番での奮起に期待を寄せる。

グリーンは2024年にティショットの総合力を示すトータルドライビングで2位。パーオン率は8位と高い数値を残した。「レフティでかなりスイングがコンパクト。正確性が売りの選手です」。吉田氏が言う“V条件”にも一致。先週も7位に入っており、今大会ではダークホースとして上位を脅かしそうだ。

この3人に共通するのは、PGAレギュラーツアーでの勝利がないこと。いわゆる“遅咲きの星”が輝くのが、シニアの魅力だと吉田氏は語る。「僕はPGAで活躍した選手よりも、苦労してきた選手が輝くのを見たい。とにかく、『もうひと花咲かせよう』という気持ちがハンパじゃない。主観ですけど、シニアの選手たちは“ガチンコ勝負”。その中で、そういう人たちが活躍するのは面白いですよね」。

■藤田寛之の“神ショット”に再び期待 宮本勝昌も「十分に通用」

日本勢は藤田寛之、宮本勝昌、兼本貴司が出場する。なかでも吉田氏が期待を寄せるのは、昨年2位の藤田だ。「昨年大会のフェアウェイキープ率は神がかっていた。ほぼ外さない。みんなフェアウェイキープに苦戦していた中、藤田さんだけ別のコースでやっているようだった」と語る。

「それを再現できるかが、一番のカギだと思います。飛距離よりもしっかりフェアウェイを捉えられるか。あとはパターが入るかどうか、ですね」。リベンジのためには、ショットの安定が不可欠。ラストピースはグリーン上にあると見る。

昨年の日本シニアツアー賞金王・宮本については、「自力はめちゃくちゃあるし、パワーでは負けていない。十分に通用する要素はある」と熱視線を送る。「セッティングの難しさに対応できるか」が懸念点ではあるが、「藤田さんに刺激を受けている部分もあると思います。一緒に練習ラウンドして、そこから生まれるものがあれば」と、相乗効果にも期待を込めた。

解説・吉田洋一郎(よしだ・ひろいちろう)/北海道出身。世界にある様々なゴルフメソッドの指導資格を保持する、ゴルフスイング・コンサルタント。欧米の一流インストラクター約100人から直接指導を受けた経験を持つ。海外メジャーを含めた米PGAツアー、欧州ツアーに足を運び、選手の現状やツアーのティーチングについて、常に情報のアップデートを行っている。

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