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ローリー・マキロイのスイングを解説 「なぜ体が小さいのに飛ぶのか?」

ここ5年の間にスイング解析器とギアが目覚ましい進化を遂げ、300ヤードヒッターが急激に増加。「飛ばすなら曲がる」時代から「飛んで曲がらない」時代へ突入した。そんな世界のトッププロたちのスイングを、プロコーチの井上透氏が解説する。

配信日時:2020年6月9日 07時00分

撮影:岩本芳弘
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マキロイのスイング解析が、米ツアーの飛距離を伸ばした

300ヤードを当たり前のようにキャリーで超えてくる飛ばし屋たちがひしめく米ツアーの中でも、ローリー・マキロイの飛距離は別格だ。今シーズンのドライビングディスタンスは、320.2ヤードでランキング2位となっている。世界ランキング上位者の中でも175センチと小柄なマキロイが、なぜそんなに飛ぶのか。最先端のスイング理論に精通しているプロコーチの井上透氏が解説する。

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マキロイは現代ゴルフの申し子です。最近、PGAツアーの選手たちが劇的に飛距離を伸ばしているのは、マキロイのスイング解析が進んだ結果、起こっていること。大きいプレーヤーが飛ぶのは当たり前だったんですけど、なぜあれだけ体の小さいマキロイがこんなに飛ぶのか。みんなが注目したことで「飛ばしても意外とリスクは少ないかもしれない」とゴルフ界を飛躍的に進歩させたのです。

ドラコン選手のようなタテの重心移動で飛ばす

バックスイングでは体の重心を上げて、トップから切り返しで左下方向に強く踏み込んでいる

バックスイングでは体の重心を上げて、トップから切り返しで左下方向に強く踏み込んでいる

マキロイのスイングはドラコン選手のような要素があります。バックスイングが上がっていくときに体の重心が上がり、切り返しで左下方向に下がりながら強く踏み込んで、手首のタメ動作を強く入れることで、大きなエネルギーを生み出しているのです。

そして腰を高速回転するために地面からのエネルギーをもらって両足が伸びていきます。地面反力を回転動作として使っている典型的な例です。これだけ振っているにもかかわらず、フェースが閉まって下りてきているからボールも曲がりません。マキロイはドラコン選手のスイングを競技レベルに持ち込んだのです。

クラブを振る方向と反対側に腰が戻る

ダウンスイングで高速回転してきた腰が、インパクトで少し戻る フォロースルーでは右足を伸ばしながら上体の右サイドを押し込んでいく

ダウンスイングで高速回転してきた腰が、インパクトで少し戻る フォロースルーでは右足を伸ばしながら上体の右サイドを押し込んでいく

腰を高速回転することで、インパクトで腰が戻るモーションが入ります。エネルギー量が多すぎて腰が戻ってしまうのです。クラブを速く振ろうとしたとき、腰が回り続けてしまうと力が入りません。例えば、椅子に座って背もたれに背中を着けずに、両足を浮かせた状態でクラブを速く振ってみてください。すると、クラブを振る方向と反対側に足は動こうとします。これが「腰が戻る」ということです。意識してできるものではありません。

最新のスイング解析器「スイングカタリスト」によって、地面反力が測れるようになりました。これがあれば、それぞれの選手の効率よく打てる最適解が分かるので、ビックリするくらい飛ぶようになります。今のアメリカのコーチたちは、地面反力計を自分で持っているか、あるところに行って計測して、選手の飛距離を最大化する努力をしている。マキロイの登場とスイング解析器の進歩によってPGAの選手たちは劇的に飛ぶようになったの
です。
■解説・井上透
1973年生まれ。神奈川県出身。1997年からツアープロコーチとしてのキャリアをスタート。中嶋常幸、佐藤信人、米山剛などのコーチを務めた。現在は成田美寿々や穴井詩らを指導している。東京大学ゴルフ部監督としての顔も持つ。

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