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プレーオフシリーズ初戦で狙うは“一発逆転ホームラン” 「多くて3試合、少なくて1試合」【藤田寛之の“人生付録記”】

昨年の「全米シニアオープン」で2位に入り、米シニア「PGAツアー・チャンピオンズ」のプレーオフシリーズに進出。2戦目で3位に入ってポイントを上積みし、今シーズンのフルシード権を獲得した藤田寛之。この第二の人生とも言える挑戦を『人生の付録』と表現する。そんな米戦記を追っていく。

所属 ALBA Net編集部
高木 彩音 / Ayane Takagi

配信日時:2025年10月17日 12時00分

昨年の「全米シニアオープン」で2位に入り、米シニア「PGAツアー・チャンピオンズ」のプレーオフシリーズに進出。2戦目で3位に入ってポイントを上積みし、今シーズンのフルシード権を獲得した藤田寛之。この第二の人生とも言える挑戦を『人生の付録』と表現する。そんな米戦記を追っていく。

≪写真≫藤田寛之がレディスクラブを投入「スピンが入って止まる」



みなさんこんにちは、藤田寛之です。今週の17日から、ポイントランキング上位72位(藤田は現在64位)の選手のみが出場できるプレーオフシリーズの初戦に出場します。昨年に続いて、出場することができてよかったです。この初戦でポイントランキング54位にはいれば、第2戦に進むことができます。

今週で3連戦目。こちらでは3連戦が多く、体にも疲れがたまります。火曜日まではしっかり休んで、調整していきたい。本戦で少しでもいいゴルフができるよう、うまくいくことを願って頑張ります。

ただ、先週(SAS選手権)は本当に悔しい結果(69位タイ)で終えてしまいました。初日に「77」、2日目に「80」と大きく出遅れ、最終日は何とかショットを修正して1アンダーの「71」。少しでも(ポイントランキングの)順位を上げたい立場だっただけに、その気持ちとは裏腹に、全然ゴルフがうまくいかず本当に悔しいです。

原因は2つあります。まずはショット。本当に良くなかった。普段も「うまくいっていない」と言いながらも、自分の中では5~6割ぐらいの感覚はあるんです。それをアメリカでの調子の基準とすると、3割くらいまで落ちていました。左右に曲がるというより、ダフリやトップのミスが出るほどひどい。その証拠に初日、2日目はバーディが一つもなかった。いかにグリーンに乗らず、チャンスが作れていなかったかが分かると思います。最終日は修正をして、少しマシにはなりました。とはいえ、自分のなかでは6割ぐらいの出来です。

もう一つはパッティング。ショットが悪くても、アプローチとパッティングでなんとかスコアを作っていくのが自分のゴルフ。アメリカに来てからも、この分野ではフィールドに追いつけているという手応えはあり、数字的にも表れていました。ただ、今大会のグリーンはバミューダ芝に砂が少し入っていて、ラインが外れることが多々…。アメリカで24試合やって初めてのタイプでしたね。芝目が強く、カップ周りの読みが非常に難しかった。通常なら芝の流れや色の濃淡で判断しますが、それが当てにならず、狙ったラインよりも逆に曲がるようなケースもありました。

ショットの精度が3割しか出せていない状態では、フェースコントロールや目線もズレてきます。結果、ショートパットをかなり外してしまった。1メートルの距離でも外れるほどでした。もちろん自分の調子の問題もありますが、同伴競技者もショートパットには苦労していました。平均点以上にグリーンが難しかったと思います(3日間トータルアンダーパーで回ったのは16人だけ)。

チャンピオンズツアーでは珍しく距離も長く、7237ヤードのパー72。ティも前に出ておらず、ハザードやバンカーも効いていましたね。3日間を通して風が強く、最終日は台風のような低気圧で雨も降るなか、一番難しい状況の最終日に1アンダー(笑)。その日は、インパクトでフェースが開く癖を極端に閉じる意識で修正したら、真っすぐ当たる機会が増えました。お腹いっぱいになるほど納得する内容ではありませんが、最終日に少しでも修正できたのは良かったと思います。

今年はずっとショットが噛み合わず手探りの状態でやっています。日本にいた頃なら、調子が悪くなると葛城ゴルフ倶楽部の練習場で鏡を見ながらフォームを確認し、それでもダメなら芹澤さん(師匠の芹澤信雄)に相談していました。現状を明確にしてくれて、修正の方向を示してくれる存在があるのは本当に大きい。改めて芹澤さんをはじめ、恵まれた環境やサポートのなかで自分のゴルフが維持できていたんだと痛感しました。ポテンシャルを下げない努力はしていますが、それ以上に周囲の支えのありがたさを強く感じた一年です。

さて、今回は珍しく試合後の日曜日に移動することができました。車で約6時間で、今年一番短い移動でしたね。普段は月曜が移動だけで終わり、火曜にバタバタと練習ラウンドをしますが、今回はトレーニングをして昼に少し睡眠を取り、夕方に50球ほど練習。こういう時間を取れたのは大きいです。しかも、今週のコースは昨年もプレーしているので慌てる必要がない。火曜に9ホール確認し、水、木曜のプロアマで18ホールずつラウンド。久しぶりに余裕を持って過ごすことができました。

ツアー生活30年以上が経ちますが、(日本にいた頃の)月曜は基本的にトレーニングを行ってから移動をするということの繰り返しでした。こちらに来てからは移動に時間を取られ、体に刺激を入れられずにいました。やっぱりトレーニングは大事。体の張り方や力の使い方が変わってくるんです。畑岡奈紗さんが「一年目はいろんなことに振り回されてつかみきれない」と言っていましたが、僕もまさにそうだなと思います。

僕は、現在ポイントランキングで64位。72位以内に入っているので、来季のツアーメンバーの資格もあります。ただ、その位置だと出場できる試合数は5試合前後。第2戦に進む54位に入ると15試合ほど出られる予定なので、来年どうするか悩む日々です。

正直、今年は獲得賞金と経費を考えると赤字。アメリカの経費は日本の3~4倍かかります。ツアーは魅力的ですが、ハイリスク、ハイリターンなのは間違いありません。もし今週“一発逆転ホームラン”(最低でもトップ5)が出れば面白いのですが、そうでなければ来年の判断は難しいところ。ツアーメンバーの資格は簡単に得られるものではありませんし、QT(予選会)がなくなった今はなおさらです。チャンスがあるうちは挑戦したい。おじさんのわがままですけどね(笑)。

今のショットの低迷は、この一年を通して一番悔しい。「もっとこうできたんじゃないか」と何度も考えます。きっかけさえつかめれば2年目も挑戦したいです。あと残り、多くて3試合、少なくて1試合の現実。終わり次第、年内にいろいろと決断しなければいけません。ダラスに拠点を構えているので、帰国するなら解約、続けるなら契約更新。どちらにしても大きな判断です。それでも、ダラスの生活にも慣れ、いろんなものが見えてきた今、アメリカに残るならここを中心にするのが一番効率的だと思っています。

いろいろ胸の内を明かしましたが、まずはプレーオフ初戦を突破することが目標です。みなさん、残りの試合も応援よろしくお願いいたします。

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