そのワトソンとミケルソンは“地元優勝”を飾ることはできなかったが、ワトソンは好プレーを披露して13位タイ。
ミケルソンは最終日の7番でティアップしたボールのライン上の草を踏みつけてからティショットした自身の行為が「ルール違反ではないか?」という疑念を抱き、ルール委員に確認後、自ら2罰打を科した。「さすが、我らがフィル!」。地元のギャラリーは、そんなミケルソンを笑顔で見守っていた。
優勝争いは、首位タイで最終日を迎え、初優勝を目指していたハロルド・バーナーIII世とケリー・クラフト(ともに米国)がどちらも苦しむ展開になり、そんな最終組の2人を傍目に、ケビン・ナ(米国)が猛チャージをかけた。
何をやってもうまく行くという状態だったこの日のナは、前半「29」、後半「35」の「64」で回り、2位に5打差を付けて大逆転の圧勝。72ホール目のグリーンに向かって悠々と歩きながら「本当にいい気分だ」と笑顔を見せ、ウイニングパットを沈めたときも、キャディとハグしたときも、終始、笑顔だったナ。だが、自身のプレーを振り返るインタビューの場の最後の最後に「韓国語で挨拶してもいいですか?」と言って話し始めた途端、万感込み上げ、うれし涙で言葉を詰まらせた。
2004年、米ツアーにデビューしたナのキャリアは波乱万丈だった。11年の「シュライナーズ・ホスピタル・オープン」で初優勝を遂げるまでに「8年近くかかった」。その日から今大会で米ツアー2勝目を挙げるまでに「7年もかかるとは思ってもいなかった」。