「何度も勝利に近づき、そして何度も負けた」。松山英樹とプレーオフを戦って敗北した14年の「メモリアル・トーナメント」もその一つ。だが、どんなときもナはグッドルーザーだった。敗北した直後、すれ違いざまに「おめでとう、ジャパン」と私はナから声をかけられた。あの日のあの瞬間の彼の潔さは、今でも忘れられない。
結婚し、子供が生まれ、父親になったばかり。そんなナの努力が6年9カ月ぶり、ほぼ7年ぶりにようやく報われ、ミリタリー・トリビュートが同時にナ・トリビュートになったことを、グリーンブライアーの人々も喜んでいたに違いない。
後味が爽やかな、いい大会だった。
文・舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)