絶好のチャンスホールで好機を生かせなかったウッズは、狙った獲物を必ず仕留めていたかつての猛虎に戻り切れていない。
折り返し直後から一気にスコアを伸ばしたモリナリは、そこから逃げ切り優勝することは「思ったよりイージーだった」と言った。昔なら、そんな言葉を他選手に吐かせるウッズではなかった。今の現実のウッズは辛抱強く少しずつ、戦いの勘を取り戻しつつある。そして、来たる「全英オープン」は今大会で初使用した新パターを携えて挑むつもりだという。
「フランチェスコのプレーは素晴らしかった」と讃えながらも、インタビューエリアで悔しさを滲ませながら米メディアに向き合ったウッズの表情や視線は、かつてのウッズに近づきつつあった。完全復活まで、おそらくは、あと少し、あと数歩――。
35歳のモリナリは欧州ツアー5勝の実績だが、米ツアーでは初優勝。そして1947年の「アトランタオープン」でトニー・ペナが勝利して以来、71年ぶりのイタリア人選手による米ツアー優勝を成し遂げた。
そして今度こそは、ウッズの復活優勝――10年ぶりのメジャー優勝が期待される全英オープンは、ウッズ一色になりそうだ。
文・舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)