成績を積み上げ、2014年に母国へ戻り、米ツアーで初優勝を挙げた。だが、メジャー4大会では勝ち急いでは惜敗することの繰り返し。それでも親友のダスティン・ジョンソン(米国)や2人のコーチ、そしてキャディに支えられ、こつこつ努力を積んできた。
今年の全米オープンでケプカを勝利に導いたのは、ジョンソンのアドバイスだった。「勝とうとするな。ひたすら耐えろ」と電話で告げた盟友の助言を反芻しながら戦ったケプカは、気が付けば2位以下を引き離し、最後は「一人旅」で勝利を遂げた。
「全英オープン」を制したジョーダン・スピース(米国)、「全米プロ」を制したジャスティン・トーマス(米国)は同い年でジュニア時代からの親友どうし。24歳の若さでスピースはメジャー3勝目を挙げ、キャリアグランドスラムにあと1つと迫っている。そのスピースに比べれば、トーマスはプロ入りもメジャー制覇も出遅れた感があるが、トーマスのメジャー初優勝とて相対的に見て「早々の成功」であることは言うまでもない。
それならば、早々に達成された彼らのメジャー優勝は「悲願の達成」とは言わないのかと言えば、そんなことはない。両親の時間と労力と経済力を、障害を持つ妹に最大限に注いでもらいたい一心で、一人黙々とゴルフ練習に打ち込み、自力で進んだ大学時代は「僕はそれはそれは貧しかった」というスピースは、赤貧から逃れるためにプロ転向し、一か八かの大勝負に出た。今年の全英オープン優勝は、そんな彼の“ギャンブル人生”が実り始めた証の1つだった。
そのスピースより格段に優秀で将来有望なジュニアと言われていたにも関わらず、プロキャリアにおいてはスピースから大きく遅れを取ったトーマスは、「ジョーダンにはずっと嫉妬しているけど、それが僕のモチベーションになる」と闘志を燃やし、全米プロ優勝を果たした。