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【舩越園子コラム】PGAツアーは持久戦

【舩越園子コラム】PGAツアーは持久戦

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2015年3月2日 15時25分

期待と重圧を背負いつつ戦わなければならないPGAツアーはまさに心と体の持久戦(Photo by David Cannon/Getty Images)
期待と重圧を背負いつつ戦わなければならないPGAツアーはまさに心と体の持久戦(Photo by David Cannon/Getty Images)
 ホンダ・クラシックの最終ラウンドは日没サスペンデッドで月曜日に持ち越された。天候が荒れ、大会進行が狂った影響もあって、リーダーボードは混沌としている。そんなリーダーボードの激動ぶりは、ある意味、現在のゴルフ界の反映だ。

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 タイガー・ウッズがプロ転向した96年以来、ゴルフ界はほぼ20年の歳月をウッズ中心で過ごしてきた。突出した才能を備え、突出した成績を上げ続け、当たり前のように王座に君臨し続けたウッズの姿を眺め続けたせいなのかもしれない。米ゴルフ界、いや世界のゴルフ界の感覚が少しばかり麻痺していると、ときどき思う。

 すべてがウッズとの比較になり、好成績がちょっと続けば“ネクスト・タイガー”と囃し立てる。そして“ずっと好調であること”が当たり前のような勘違いに陥り、成績低迷がちょっと続けば“スランプ”と囁かれる。

 この20年の歳月は若者たちがウッズを目指して台頭し、ウッズ効果でテクノロジーも用具も何もかもが進化し、賞金も高騰し、ゴルフ界に広がりと深みをもたらしたけれど、一方で、短期的にモノゴトを眺め、短絡的に結論づけようとする弊害ももたらした。
 
 不倫騒動に端を発し、スイング改造や度重なる肉体の故障で輝きを徐々に失っていったウッズが、ひどいアプローチイップスに陥り、戦線離脱してしまった原因の一端は、ウッズ自身と周囲、双方の焦りにあったと思う。早く調子を戻さなきゃいけない。早く優勝しなきゃ。早くメジャーで勝たなきゃ。そうやってウッズ自身も焦り、周囲はウッズの一挙一動に一喜一憂。それがウッズにとって、どれほどのプレッシャーになっていたかに思いを巡らせれば、短期復調を期待し、期待されたあのウッズがどんどん追い詰められていったことが頷けてくる。だからこそ、ウッズ不在の今こそは、選手も周囲も焦りは禁物だ。

 ホンダ・クラシックは世界ナンバー1のローリー・マキロイが予選落ちして姿を消し、決勝ラウンドでは久しぶりに上位に浮上したフィル・ミケルソンが米メディアを賑わわせている。ミケルソンは好調不調の波がたとえ小さな波であっても、そのたびに必ず取り沙汰され、絶えずウッズと比較され、そしてウッズが輝くたびに陰になってきた。ウッズが戦線離脱した今は「ウッズのみならずミケルソンも不調」などと言われつつある。確かにミケルソンは昨季の勝利がなく、今季も3試合に出て2連続予選落ち。そこだけを部分的に指摘すれば、成績不振ということになる。

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